【US市場】ビットコイン、イーサリアムはわずかに上昇

ビットコイン(BTC)は12日、0.42%上昇、イーサリアム(ETH)も1.34%上昇した。

ただし、ビットコインの取引高は20日移動平均を下回り続けており、市場が当面の間、レンジ相場となることを示している。10月はこれまでに1.65%下落しているが、ビットコインにとっては歴史的に強い月で、2014年まで遡ると1日平均0.57%上昇している。

イーサリアムは1%超上昇し、1300ドル目前となった。取引高は20日移動平均を12日連続で下回っている。オプション市場では、権利行使価格1300ドルのプット(売る権利)がコール(買う権利)を2対1で上回っており、現状からの上昇は難しいかもしれない。

暗号資産全体のパフォーマンスを測定する広範な市場指標、CoinDesk Market Index(CMI)は、0.90%下落。

マクロ経済関連では、米東部時間10月13日には9月のCPI(消費者物価指数)が発表され、前年比8.1%上昇が予想されている。食品とエネルギー価格を除いたコア・インフレ率の予想は6.4%上昇。

原油価格は、OPECによる先週の減産決定を受け、今後、上昇する可能性が高くなっている。インフレは通貨供給量の増加に起因するが、原油供給量の減少による、エネルギー価格の上昇も物価上昇を引き起こす。

インフレ率の上昇は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ政策の継続につながり、経済成長は鈍化し、暗号資産をはじめとするリスク資産への需要は低下するだろう。

OPECの減産決定は、OPECが予想される世界経済の減速から自らを守っていることを示している。ヨーロッパの国々の多くはすでに景気後退に陥っているか、それに近い状態にある。12日、イギリスが発表した2022年4〜6月期のGDP(実質国内総生産)は年率換算マイナス0.3%、予想はマイナス0.1%だった。

最新価格

●ビットコイン:19,136ドル、+0.6%
●イーサリアム:1,297ドル、+0.9%
●CoinDesk Market Index(CMI):940.65、+0.5%

●S&P500:3,577.03、-0.3%
●ゴールド:1,681ドル、+0.1%
●米国10年債利回り:3.90%、-0.04

テクニカル分析

出典:TradingView

ビットコインは12日、CPI発表を前に取引高は低迷し、狭いレンジで推移した。日足チャートは、当日の高値が前日より低く、当日の安値が前日より高くなる「インサイドデー(はらみ足)」となった。

つまり、12日の値動きは前日の値動きの範囲に完全に収まっている。インサイドデーは、投資家が価格の方向性に対して不安を抱いていることを示す。9日もインサイドデーとなっており、直近7日間で2日目のインサイドデーとなった。

ボラティリティと価格の方向性が定まらない状況が続いているため、トレーダーにはほとんど打ち手がない。だが、低調な相場が長く続いた後に相場はしばしば乱高下するため、トレーダーは希望を見出すことができるかもしれない。ただ、いつまで低調な相場が続くのかはわからない。

出典:Glassnode

現在、デリバティブ市場は価格上昇/下落の双方に保険がかけられているようだ。コールオプション(水色)は権利行使価格1万9500ドルと2万ドルで高くなっており、プットオプション(紫色)は1万9000ドルと1万8500ドルで高くなっている。

ビットコインの価格チャートには、現時点では横ばい以外の明確なトレンドは見られない。だが、チャートパターンを重視する弱気トレーダーは、10月4日から12日の間に「ディセンディングトライアングル(下向き三角形)」を確認できるだろう。

ディセンディングトライアングルは、弱気と解釈されることが多いチャートパターン。価格下落に対応した需要が減少し、より安値で売却することを望むときに発生する。

ビットコインの10日移動平均は最近、20日移動平均を下回り、これも弱気と見なされる。だが取引高の低迷は下落圧力のサインではあるものの、市場が広く様子見姿勢であることを示している。

アルトコイン

ソラナのDEX「Mango」で1億ドルのハッキング:ソラナ(Solana)基盤のDEX(分散型取引所)「Mango」で、ハッカーがネイティブ暗号資産MNGOの価格を操作、流動性の欠如を悪用して、1億1600万ドル以上の暗号資産を盗み出した。ハッカーは、Mango Marketsが準備金として保有しているUSDコイン(USDC)を使って不良債権を返済するなら、ハッキングした暗号資産を送り返すと提案している。

Tron(トロン)はドミニカ共和国と提携、国家「ファン・トークン」を発行:Tron(トロン)は、カリブ海に浮かぶドミニカ共和国と提携、観光促進を目的に国家ファン・トークンを発行する。提携によって、Tronは同国の「国家ブロックチェーン基盤」となり、Tronネットワークのネイティブ暗号資産トロン(TRX)などが公共料金などの支払いに利用できるようになるという。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:TradingView
|原文:Market Wrap: Bitcoin Trades Higher Amid Muted Expectations for Next Inflation Reading