FTXのハッキングは内部関係者の可能性が疑われており、ハッカーは11日遅くに流出させた約3億3900万ドルの暗号資産を保有していると、ブロックチェーン分析企業アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)は述べた。
ハッキングに関連するウォレットは、イーサリアム(ETH)を2億9200万ドル、ダイ(DAI)を4800万ドル、バイナンスコイン(BNB)を4400万ドル、テザー(USDT)を400万ドル、ポリゴン(MATIC)を380万ドル保有しているという。
ゴールドに連動するパクソス(Paxos)のステーブルコイン、パックスゴールド(PAXG)の約2000万ドルは、パクソスが米当局からアカウントのブラックリスト化を命じられ、凍結された。
We are now 3 days deep into the attack on FTX.
— Arkham | Crypto Intelligence (@ArkhamIntel) November 14, 2022
So far, Paxos has blacklisted 4 addresses, and the attacker has repeatedly bridged to and from multiple different networks.
What will the FTX attacker do next?
An update on their current token balances and actions so far 👇 pic.twitter.com/pU415WGGNK
11日夜、FTXから6億ドルを超える暗号資産が流出。ハッキングの中心にいるある人物(あるいはグループ)は、FTXのコールドウォレットから約4億ドルを移動させた。この日、FTXは130社を超えるグループ会社とともに、アメリカで連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請していた。
計画性は見られず
ブロックチェーンでの行動を見ると、ハッカーは慌てて行動したとアーカムは述べた。ユニスワップ(UniSwap)やワンインチ(1inch)など、複数のDEX(分散型取引所)を使って暗号資産を変換したという。
ブロックチェーンのトランザクションを追った結果、アーカムはハッカーが「パニックに陥っている」ように思え、捕捉されることを避けるために異なるチェーンに暗号資産を移動させた際に「多くの暗号資産を失った」ことに気づいた。またハッカーは、資産を集約しようとした可能性が高く、当局が簡単に手を出すことのできないイーサリアムやダイに資産を変換していた。
「FTXのハッカーは、ハッキングにあまり慣れていないことが日に日に明らかになっている。焦って、手当たり次第に行動しており、あまり計画性はないように思える」とアーカム・インテリジェンスのCEO、ミゲル・モレル(Miguel Morel)氏はCoinDeskに語った。
ハッカーはまた、少なくとも基本的な失敗をしたようだ。ブロックチェーンセキュリティ監査企業ハッケン(Hacken)のCEO、ディマ・ブドリン(Dyma Budorin)氏によると、ハッカーは暗号資産取引所グラーケン(Kraken)の認証済み個人アカウントを使って、ハッキングした暗号資産を動かすために必要なトロン(TRX)を送信したという。
こうした決して洗練されているとはいえない行動は、ハッキングされた暗号資産を取り戻すことができる可能性があることを示している。
「ハッカーが特定されるのは時間の問題。そうなれば、ハッキングされた暗号資産を回収するだけ」とモレル氏は述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:FTX Hacker Panicked, Still Holds $339M in Ether, Cryptos: Arkham Intelligence
※編集部より:本文を一部修正して更新しました。