先週のビットコイン週足は大陰線を記録した。下落率は26.0%となり、年初来安値を更新。現在は235万円近辺で取引されている。先々週まで6週連続で陽線を記録し、底堅く推移していたが先週で相場が一気に崩れた。
週足も移動平均線の上位から下位へと転落した。ビットコインは昨年の最高値から続く下落トレンドラインを超えることができず、安値を切り下げる結果となった。テクニカルは明確に弱気に傾き、相場の弱気トレンドが顕著化した。
長期では200万円近辺が次のサポートラインであると見込まれ、価格の下落に注意が必要な状態となった。
短期足の日足を見れば一目瞭然だが、価格の下落は海外取引所大手FTXの破綻懸念が大きな要因となった。11月8日にFTXの流動資産問題がメディアでも取り上げられると、信用不安が発生し、ビットコインは強く売られた。それまで日足は一目均衡表の上位で推移し高値を目指す展開だったが、相場は急落した。
現在の日足は移動平均線の下位で推移し、テクニカルは一気に崩れた。今後は価格が反発した際の戻り売りを狙う相場となりそうだ。
短期では売られ過ぎの反動から上昇する場面も予想されるが、高値を追っていく強さは早々には戻ってこないと想定される。しっかりテクニカルが好転するまで、買いポジションには注意が必要だ。
急減する大手取引所のビットコイン保有量
FTXのビットコインの保有数は半年前ごろから急落し始めていた。2万2000BTCほどあったビットコインは現在、約5000BTCまで下落している。FTXがユーザーの出金申請を止めたニュースが市場に伝わると、価格は大きく下落。
ユーザーのみならず他の海外取引所もFTXに資産を預けていたとの報道も出てきており、FTX破綻の余波がどこまで広がるかはまだ未知数だ。FTXと資本提携関係にあった他社の事業にも影響が及ぶ可能性は十分にある。今後も信用不安の連鎖が相場に広がることも予想される。
現在、取引所全体からビットコインが出金されている傾向がある。FTX破綻をきっかけに、取引所に預けていたビットコインをユーザーが自身のウォレットに移動させたり、利用している取引所の変更を行っていると考えらる。
Coinbaseが保有するBTCはここ6カ月間で約60万BTCから約53万BTCに減少。Binanceが保有するBTCも先週から約64万BTCから58万BTCに減少している。大手取引所からもBTCが流出しており、流動性の問題が再燃することも懸念される。
一方、BitfinexではBTCの増加が確認されている。ここ1週間で約1万BTCの流入が確認された。取引所によってはビットコインの逃避先として流入しており、取引所選びをする際は、仮想通貨の流出状況なども判断材料として加えた方が良いだろう。
真田雅幸:ビットバンク(bitbank)マーケット・アナリスト──カリフォルニア州立大学で経済学を専攻し社会のお金の流れについて興味を持つ。大学在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankで業界に関する調査業務を行いながら同社のメディアで寄稿を行う。2015年冬頃からビットコインへの投資、トレードを徐々に始める。最近は基本的なテクニカルに加え、デリバティブ情報やオンチェーン情報も分析しながらトレードを行う。
|編集・構成:佐藤茂
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