ウィンクルボス(Winklevoss)兄弟が設立した暗号資産取引所ジェミニ(Gemini)は、FTX/アラメダの破綻とその後の影響に暗号資産業界が格闘しているなか、大規模な引き出しに苦しんでいる。
ブロックチェーン情報企業ナンセン(Nansen)によると、ジェミニは過去24時間で4億8500万ドル(約680億円)の純流出となった。これは取引所の中で最大規模(流入額は7800万ドル、流出額は5億6300万ドル)。過去7日間では、6億8200万ドル(約950億円)の純流出。引き出しの大部分は16日に発生した。
アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)のデータによると、ジェミニの暗号資産ウォレットの残高は、前日の約22億ドルから17億ドルに減少している(ただし、データはジェミニのすべてのウォレットを含んでいない可能性がある)。
ジェミニが16日、高利回りプログラムからの引き出しを一時停止したことで大規模な引き出しが始まった。ジェミニのプログラムは、ジェネシス・グローバル・トレーディングの融資部門、ジェネシス・グローバル・キャピタルのサービスをベースにしており、ジェネシスは「FTX崩壊によって引き起こされたきわめて大きな市場の混乱と業界への信頼喪失」を理由に払い戻しを一時停止していると16日に発表。その影響を受けた。
ジェミニは同日、Webサイトもダウン、すぐに回復したが、安定性に対する不安を悪化させた。
ジェミニにコメントを求めているが、当記事執筆時点までに返答はなかった。
ジェミニは16日遅く(日本時間17日未明)、資産はいつでも引き出すことができるとツイッターに投稿した。
Gemini exchange fully back online; all customer funds held on the Gemini exchange are held 1:1 and available for withdrawal at any time.
— Gemini (@Gemini) November 16, 2022
FTX影響、広がる
大手暗号資産取引所FTXとその姉妹企業でトレーディング大手のアラメダ・リサーチ(Alameda Research)の崩壊に対処している暗号資産取引所とレンディング企業には圧力が積み重なっている。
慎重になった投資家は「中央集権型取引所の支払能力に関する懸念が大きくなる」なか、中央集権型取引所から慌てて暗号資産を移動させていると暗号資産調査会社デルファイデジタル(Delphi Digital)はレポートで述べた。
ナンセンによると、バイナンス(Binance)、コインベース(Coinbase)、クーコイン(KuCoin)でも大規模な引き出しが見られた。複数の小規模な取引所はすでに引き出しを停止している。
取引所の保有残高を公表することで市場に広がる恐怖を緩和しようという動きもある。バイナンスのチャンポン・ジャオCEOらは、保有残高を証明し、定期的に独立した監査を行う「プルーフ・オブ・リザーブ」の導入を提唱している。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:shutterstock
|原文:Crypto Exchange Gemini Suffers $485M Rush of Outflows Amid Contagion Fears