暗号資産(仮想通貨)マイニング企業のハイブ・ブロックチェーン(Hive Blockchain)が、インテル(Intel)の新型チップを使用したマイニング機器から得られるコンピューティングパワーは当初の予測よりも少ないようだ。
バンクーバーに拠点を置く同社は12月9日、Hive Buzzminersと名付けられた5800台の新しいマシンは総演算能力が630ペタハッシュ/秒(PH/s)以上になると発表した。10月時点には、1エクサハッシュ/秒(EH/s)になると見積もっていた。
ハイブはその理由を明かしておらず、米CoinDeskのコメント要請にも記事執筆時点までに回答していない。電力コストが高い時期に消費電力を抑えるためにマシンの仕様を変更した可能性がある。また、ビットコインの価格が今年60%以上下落したため、当初より少ない台数を発注したのかもしれない。
一部のマシンはすでに設置されており、残りは1月末までに設置される予定だ。マシンの演算能力は1台あたり約109テラハッシュ/秒(TH/s)で、2020年に発売されたビットメイン(Bitmain)のAntminer S19 Proを少し上回る。ハイブは電力コストの高騰に悩むマイナーにとって重要な指標であるマシンのエネルギー効率やコストは明かしていない。インテルのチップは環境に優しいと宣伝されており、エネルギー効率の高さを長所としている。
4月にインテルの第2世代ビットコインマイニングマシン用ASIC(Application Specific Integrated Circuit)「Blocksale」が発表され、ビットコインマイニングASIC市場におけるビットメインとマイクロBT(MicroBT)の2強状態を打ち破るのではないかと期待されている。
マイナーは、インテルのチップをハイブのように自社設計のマシンに組み込むことができる。これがクローズド設計として悪名高いビットメインのマシンとの違い。しかし、その柔軟性には、設計して生産体制に移す困難が伴う。
インテルのもう1つの初期顧客であるアルゴ・ブロックチェーン(Argo Blockchain)は、マシンの再設計を決定し、配備は遅れている。ロンドンに拠点を置く同社はePIC Blockchainと共同でマシンを開発しているが、マシンの方向性を電力効率へと変更し、21.5ジュール/テラハッシュ(J/TH)で134TH/sのビットメインのAntminer S19 XPに近づけたいと考えているという。このマシンは当初、演算能力を重視して設計されたとアルゴは述べている。
その他には、グリード・インフラストラクチャー(Griid Infrastructure)、ブロック(Block、旧スクエア)が初期顧客として名を連ねている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:スウェーデンのボーデンにあるハイブ・ブロックチェーンのマイニング施設内のASIC(Sandali Handagama/CoinDesk)
|原文:Crypto Miner Hive Cuts Computing Power Forecast for Intel Chip-Based Rigs