「暗号資産の冬」でもWeb3へのVC投資は継続:PitchBookアナリスト

「暗号資産の冬」は、業界の隅々まで同じように襲っているわけではない。調査会社PitchBookのシニア・エマージングリサーチアナリストのロベルト・レ(Robert Le)氏は12月17日、CoinDesk TVに出演。ベンチャーキャピタル(VC)投資はレンディングや取引所のような中央集権的サービスからシフトしているが、Web3関連企業への投資は続いていると述べた。

メタバース、ゲーム、他のブロックチェーン関連技術を始めとする「Web3は、過去6カ月間で投資家が多くの資金を投じた分野の1つ」とレ氏。2022年第3四半期(7-9月期)、VCはWeb3関連企業に約15億ドル(約2050億円)を投資している。

第3四半期の新興テクノロジーに関するPitchBookの最新レポートによると、2027年にWeb3ベースのコンテンツプラットフォームの収益は約390億ドル(約5兆3000万円)にのぼる。ちなみに、2022年の収益は34億ドル(約4600億円)。

「中央集権的な暗号資産サービスからのシフトが進んでいることは間違いない」(レ氏)

「取引所、カストディアル・ウォレット」や「多くの中央集権型レンディングサービス」に対するVC投資は約85%減少したと同氏はレポートを引用して述べた。減少は急激だが、セルシアス・ネットワーク(Celsius Network)やブロックファイ(BlockFi)など、知名度の高い企業が破綻したことを考えると「驚くことではない」と付け加えた。

分岐点

レ氏によると、VC投資の減少は「FTX破綻以前」から起きていたという。この先、「暗号資産の冬」によって「暗号資産ネイティブではない」投資家は退出し、それが「2023年まで投資が減少し続ける」理由と述べた。

「まさに分岐点となるだろう。過去18カ月、暗号資産ネイティブの投資家、ヘッジファンド、クロスオーバーファンド、ファミリーオフィスなど、誰もが暗号資産業界に投資していた。この先、多くの暗号資産ネイティブではない投資家が離れていくだろう」(レ氏)

だが2023年は当面、VC投資が減少し続けるものの、PitchBookは「2023年下半期のある時期にはVC投資が増えると考えている。慎重にだが、楽観視している」とレポートに記している。

2023年下半期には、暗号資産プラットフォームからの情報開示が進み、規制も明確になる可能性があり、最終的に暗号資産投資家は「もう少し自信を持つことができる」という。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk TV(キャプチャ)
|原文:Crypto Winter Isn’t Chilling VCs From Investing in Web3, Says PitchBook Analyst