暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)のビットコイン(BTC)のスポット取引高の市場シェアは、2022年末までに92%まで上昇した。アーケーン・リサーチ(Arcane Research)のデータで判明した。
2022年初めは45%だったが、6月に取引手数料を廃止したこと、そして11月にライバルのFTXが崩壊したことで、多くのユーザーがバイナンスに移行した。
「取引活動をどのように捉えても、バイナンスは暗号資産市場そのもの。2022年夏にビットコインのスポットペアの取引手数料を撤廃した後、バイナンスはスポット市場の市場シェアを完全に奪った」(アーケーン・リサーチ)
バイナンスはこの数年、取引高で世界最大規模の暗号資産取引所だったが、数字は独占ともいえる状況を示している。CryptoCompareのレポートによると、バイナンスの2022年末時点の暗号資産市場全体に対するシェアは66.7%。2位のコインベース(Coinbase)は8.2%と大きく差が開いている。
仮にバイナンスに何かあった場合、「個人投資家向け暗号資産市場は、抜け出すことのできない暗黒時代に入る可能性がある。バイナンスは大きすぎる……。取引高のあまりにも多くが1つの取引所に集中することは健全ではない」とオアンダ(Oanda)のシニアアナリスト、エドワード・モヤ(EdEdward Moya)氏は述べた。
FTX崩壊後、バイナンスの支払い能力をめぐる不安が広がり、短期間に同取引所から暗号資産が流出したが、その後は安定している。とはいえ、バイナンスに何らかの問題が起きた場合、この高い市場シェアは業界にとって問題となるだろう。
バイナンスは現在、マネーロンダリング防止や制裁の順守に関して米司法省の調査を受けている。また12月にはプルーフ・オブ・リザーブ(PoR:準備資産証明)の作業を行っていた監査法人Mazars Groupが、バイナンスを含む暗号資産取引所に対するPoR作業の停止を発表した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Binance Controlled 92% of Bitcoin Spot Trading Volume at End of 2022: Arcane Research