『2022 アニュアル・クリプト・レビュー』発行:CoinDesk Research

CoinDesk Researchは『2022 アニュアル・クリプト・レビュー(2022 Annual Crypto Review)』を発行。2022年は弱気相場だったが、暗号資産業界のあらゆる側面で多くの出来事があった。


ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は、2021年の大幅上昇に続いて、2022年はそれぞれ65%、67%の下落となった。

マクロ資産とビットコインの相関関係はさまざま。債券はビットコインと無相関のレベルで1年を終え、株価指数はややプラスの相関関係を、米ドル指数はややマイナスの相関関係を維持した。

市場の低迷は、最悪の事態がビットコインマイニング企業の株価を大幅に下落させた。大手上場マイニング企業のうち、最もパフォーマンスが良かったのはCleanSparkだが、それでも株価は79%下落した。ビットコインのハッシュレートは、強気相場の間に購入されたマイニング機器が稼働するにつれて上昇し、ビットコイン価格の低迷と合わさって、マイニング業界は困難な状況に陥った。

とはいえ、ブロックチェーン企業と暗号資産企業が調達したVC投資額は増加し、約300億ドルに達した。2021年に比べると、伸び率ははるかに及ばなかったが、2021年に資金調達したベンチャーファンドにはドライパウダー(まだ投資に利用していない資金)があったため、VC投資額は大きく伸びた。

弱気相場の2022年、テクノロジーの発展に希望を見出すことができる。イーサリアムブロックチェーンは、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行、いわゆる「Merge(マージ)」を成功させた。

ビットコインも順調に推移した。2021年に行われたアップデート「タップルート」に対応したノードが増えるとともに、ライトニング・ネットワーク(Lightning Network)が成長し、複数のエキサイティングなユースケースの可能性が生まれた。

政策面では奇妙な1年となった。EU(欧州連合)の「Markets in Crypto Assets(MiCA)」法案など、大規模な規制法案が立法化に近づく一方で、暗号資産規制を明確化する新しい法律を実際に施行させた国はほとんどなかった。だが、2022年の出来事は、規制当局がこの分野に対して実際に何かをしなければならない新たな圧力となった。

規制の観点からは、2022年8月に米財務省がミキサープログラム「トルネードキャッシュ」をブラックリストに加え、開発者の1人であるアレクセイ・ペルテセフ(Alexey Pertsev)氏が逮捕されたことで、イーサリアム取引の大半が外国資産管理局(OFAC)に準拠するものになった。

そしてもちろん、2022年の暗号資産についての議論は、暗号資産企業の信用危機を議論することなしには終わらない。

危機は、資産の預け入れと引き換えに利回りを提供する暗号資産レンディング企業の急増に始まり、FTXの創業者サム・バンクマン-フリード氏の逮捕とアメリカへの引き渡しでクライマックスを迎えた。これは何年も前から起こっていたことであり、金融の歴史上で初の信用危機とはいえないが、間違いなく、暗号資産業界にとっては歴史上、初めての信用危機となった。

CoinDesk Researchの『2022 アニュアル・クリプト・レビュー』(英文)はこちら

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk Research
|原文:CoinDesk Research’s 2022 Annual Crypto Review