香港金融管理局、ステーブルコインにライセンス制を導入へ──早ければ年内に

香港はステーブルコインの発行者にライセンス取得を義務付け、アルゴリズムによるステーブルコインを認めない方針だと香港の金融規制当局トップが1月31日に発表した。規制が実施されれば、香港でステーブルコインサービスを運営する事業者はライセンスが必要になるだろう。

香港金融管理局(HKMA)は、昨年発表したディスカッションペーパーに対するフィードバックを受け、規制計画を打ち出した。58件の回答をもとに、米ドルなど他の資産に価値を固定された暗号資産(仮想通貨)であるステーブルコインを監督する体制を構築するという。

HKMAはまず最初に、法定通貨でバックアップされたステーブルコインのガバナンス、発行、安定化を監督する計画で、発行者は流通する暗号資産の量に見合った準備金を維持しなければならない。ステーブルコインの準備金は、2021年に時価総額トップのステーブルコインの発行元だったテザー(Tether)社が、その準備金の多くが無担保の短期債務で構成されていることを明らかにして以来、世界中で規制当局の厳しい監視の対象となっている。アメリカ、欧州連合(EU)、日本などの主要経済圏も、ステーブルコインの発行体に対する規制に取り組んでいる。

香港当局は「準備資産の価値は、常に発行済みステーブルコインの価値を上回るべきだ」としている。「準備資産は高品質で流動性の高いものであるべきだ。裁定取引やアルゴリズムに基づいて価値を導き出すステーブルコインは認められない」

暗号資産テラ(LUNA)によって価値が維持されることになっていたアルゴリズム型ステーブルコインのテラUSD(UST)は、昨年5月に崩壊した。

「具体的な規制を取り決める際、我々は受け取ったフィードバック、最新の市場動向、国際的な議論を考慮する予定だ。また、利害関係者や市場参加者とも意見交換を行う予定がある。その上で2023年から24年に規制の取り決めが実施できることを期待している」とHKMAのエディー・ユー(Eddie Yue)総裁はプレスリリースで述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像: Shutterstock
|原文:Hong Kong to Require Stablecoin Licensing as Early as This Year
※編集部:本文に誤りがありました。訂正して、更新しました。
誤)別の暗号資産によって価値が維持されることになっていたアルゴリズム型ステーブルコインのテザー(USDT)は、昨年5月に崩壊した。
正)暗号資産テラ(LUNA)によって価値が維持されることになっていたアルゴリズム型ステーブルコインのテラUSD(UST)は、昨年5月に崩壊した。