米銀最大手のJPモルガン・チェースは、皆がすでに知っていることを再確認した。すなわち、AI(人工知能)は、2023年のトップトレンドになっている。
機関投資家835人を対象とした調査では、約53%が今後3年間で金融を最も大きく変える可能性のある技術として「AIと機械学習」をあげた。Web3を支える技術であるブロックチェーンは3位、同行が年次レポート「The e-Trading Edit」で、AIと暗号資産を同率2位とした昨年から1ランクダウンとなった。
AIはすでにさまざまな影響を市場に及ぼしている。金融情報専門メディアのバロンズ(BARRON’S)が伝えたように、AI関連銘柄は、暗号資産が大幅に上昇するような勢いで株価が上昇している。もちろん、暗号資産にも影響している。
73のAIトークンのインデックスを提供しているCryptoSlateによると、現在、73のAIトークンの時価総額は約46億3000万ドル(約1兆3100億円)。過去7日間だけで87%増加し、いくつかのAIトークンは100%を超える上昇を見せている。
先行するマイクロソフト、追うグーグル
こうした動きは、OpenAIがChatGPTを発表したことがきっかけ。ChatGPTは、スマートコントラクトを書いたり、詩を作ったり、検索におけるグーグルの独占を脅かしたりしている。マイクロソフトは先月、OpenAIに100億ドル(約1兆3000億円)を投資した。
だが、グーグルがOpenAIへの対策を急ぐ以上に、具体的な課題は見えていない。
グーグルは8日、パリからのライブ中継でChatGPTのライバルとなるAI「Bard」を発表。だがBardはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)についてのデモ回答に誤りがあったことが指摘され、親会社アルファベットの株価が急落する事態となった。
Bardは数週間以内にグーグルのサービスに展開される見込みで、おそらくGoogle Mapsや検索など、多くの人が利用しているサービスに導入される。AIの脅威は、数年前に経営から引退したグーグルの共同創業者ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏を再び最前線に駆り立てたと伝えられている。
克服すべき問題がまだ存在する一方で、AIは新しい時代のイノベーションをもたらすことは間違いないだろう。
AI × 暗号資産
暗号資産でもチャンスは明らかだ。画像生成AIのAletheaは、画像生成と引き換えにユーザーにインセンティブとしてトークンを発行している。Fetch.aiは、分散型かつ自律的なソフトウェア開発を支援し、IoTへの応用が期待されている。Artificial Liquid Intelligenceは、ブロックチェーン上のAIアセットを記録する。
こうしたプラットフォームはいずれ、より安価で、プライバシーを侵害しないAIプラットフォームを生み出し、マイクロソフトやグーグルが独占するのではく、AIが生み出す富を共有することを実現するかもしれない。
だがAIトークンの上昇は、暗号資産の主な目的が投機であることを思い出させる。「短期的な価格上昇を利用しようとする投機家が多いため、この『新しいトレンド』全体が空っぽの誇大広告で終わるリスクがある」と金融市場コンサルタントのバレンティナ・ドローファ(Valentina Drofa)氏は語った。
今後、AIトークンには独自のリアルな事例が求められる。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk TV
|原文:Crypto AI Needs a Showcase to Know What’s Real