ステーブルコイン発行の減少は暗号資産取引にとってマイナス:モルガン・スタンレー

ステーブルコインは暗号資産(仮想通貨)取引において重要な役割を果たし、それは潜在的に既存の銀行システムと競合すると、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)は2月13日の調査レポートで述べている。

同行は、アメリカの規制当局がステーブルコインの発行を制限し始めたことを指摘し、ステーブルコインの発行は暗号トレーダーにとって重要であると付け加えてた。ステーブルコインの時価総額の下落は、仮想通貨の流動性とレバレッジの低下を示すものであり、暗号資産市場の量的引き締めに相当するとレポートは述べている。ステーブルコインは、その価値が米ドルや金などの他の資産に固定されている暗号資産の一種だ。

モルガンスタンレーは、ステーブルコインの時価総額がアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシートとほぼ同時に縮小し始めたと指摘している。

2021年の強気市場では、ビットコイン(BTC)の価格がステーブルコインの時価総額の伸びをリードしたが、2022年の弱気市場では、その逆のことが起こったとレポートは述べている。

アナリストのシーナ・シャー(Sheena Shah)氏とキンジ・スタインメッツ(Kinji Steimetz)氏は「市場価格の上昇により、トレーダーはステーブルコインを借りるという形でより大きなレバレッジを獲得し、ステーブルコインはより多くの暗号資産を購入するために使用された」と書いている。「市場価格の下落は、トレーダーがロングポジションをクローズすることによって生じる暗号資産の流動性の低下と、その後に受け取ったステーブルコインの償還が触媒になった」

モルガン・スタンレーは、アメリカの暗号資産規制の取り組みがステーブルコインの規制に焦点を当てると予想しており、ステーブルコインを発行する事業者は登録が義務付けられ、発行したステーブルコインを裏付けるのに十分な流動的資産を保持していることを証明する必要があるだろうと述べている。

「すべてのステーブルコインは、安定した価値を維持するシステムの能力に対する市場の信頼に依存している」とレポートは付け加えている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Morgan Stanley: Falling Stablecoin Issuance Is Negative Sign for Crypto Trading