中国の製造業の好調なデータが世界的な成長懸念を緩和し、世界の金融市場のリスク選好度を改善したことを受けて、ビットコイン(BTC)は上昇した。
3月1日に発表されたデータによると、中国の製造業購買担当者指数(PMI)は、1月の50.1から2月は52.6に上昇し、ここ10年で最高を記録した。50以上の数値は、活動の拡大を示している。非製造業のPMIも1月の54.4から56.3へ上昇した。
世界の工場であり、アメリカとドイツの最大の貿易相手国である中国の好材料は、米ドルを主要通貨に対して下げ、ビットコインや株式などのリスク資産を上昇させた。
米CoinDeskのデータによると、時価総額でトップの暗号資産(仮想通貨)であるBTCは、2万3000ドルから2万4000ドル近くまで4%跳ね上がった後、2万3700ドルまでわずかに戻った。メジャー通貨に対するグリーンバックの価値を示すドル指数は0.5%下落し、104.36になった。
香港のハンセン指数は4.15%上昇し、アジア株式指数のリスクオン回復を主導した。ヨーロッパの主要指数とウォール街のハイテク指数のナスダック総合指数に連動する先物も小幅な上昇を記録した。ビットコインは一般的にナスダックや株式市場と正の相関がある。
暗号資産の早々の反発は、アジアのフローが市場の強さをリードする最近の傾向と一致する。
「11月の底値以降、BTCはアジアの取引時間中に健全で安定した上昇トレンドが見られ、目立った下げの日がないことに注目している。米国取引時間中の動きは不安定で、1月の主要な上昇は米国取引時間中に発生したが、先週の上昇は欧州取引時間中に発生した」とK33リサーチのアナリスト、ベトル・ルンダ(Vetle Lunde)氏は2月21日のノートで述べている。
市場では、中国人民銀行による最近の流動性注入が進行中のアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めを補い、リスク資産の入札を維持していることから、暗号資産市場の未来は東洋の動向にかかっていると見られている。
「流動性は金利の引き締めの大きな相殺要因であり続けており、それは主に東洋から来る。中国は銀行システムの適切な流動性を維持し、ゼロコロナ政策後の経済成長に火をつけるために現金を送り続けている」と、機関投資家に特化した技術プラットフォームのパラダイム(Paradigm)の機関投資家向けセールス・ディレクター、デービッド・ブリッケル(David Brickell)氏は2月28日のニュースレター「Macro Pulse」で述べている。
香港では最近、暗号資産への関心が高まっており、いずれ中国が規制を緩和するのではないかとの憶測を呼んでいる。香港の証券先物委員会(SFC)は先月、暗号資産取引プラットフォームの運営者に対する要件案について協議することを発表した。
「香港は中国本土の実験場と見なされており、巨額の個人資産が暗号資産に流れ込む可能性は、アメリカ主導のFUDを相殺するポジティブなセンチメントを維持するだろう」とブリッケル氏は指摘する。
テクニカル分析の観点からは、当面の強気バイアスを強化するためには、2月の高値である2万5000ドル前後を上回る説得力のある動きが必要だろう。そのレベルは、8月でも上昇の上限になっていた。
FxProのシニア・マーケットアナリストのアレックス・カプチケヴィッチ(Alex Kuptsikevich)氏は「週足でのテクニカルイメージは、2万5000ドルを超える動きだけが市場の強気な見方を強化できることを示唆している」と述べている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/Highcharts.com
|原文:Bitcoin Jumps 4% as Upbeat China Manufacturing Data Improves Risk Appetite