テザー(USDT)のシェア、15カ月ぶりの高水準に

1360億ドル(約18兆5000億円)規模のステーブルコイン市場がバイナンスUSDの問題で揺れ動くなか、テザー(USDT)のシェアが高まっている。

CoinGeckoのデータによると、USDTのシェアは3月6日時点で54%を超え、強気相場が頂点に達した後の2021年11月下旬以来の高水準となった。

シェア上昇は、ライバルのバイナンスUSD(BUSD)のシェア低下によるもの。BUSDの発行を手がけるパクソス(Paxos)が2月、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の要請により新規発行を停止すると発表した後、BUSDの時価総額(流通総額)は、160億ドルから90億ドル以下に急速に減少した。

一方、USDTの時価総額は年初から約53億ドル増加して、716億ドルとなっており、うち30億ドルは2月中旬以降に増加した。競合のステーブルコイン「USDコイン(USDC)」もパクソスの発表以降、約30億ドル増加しているが、時価総額は440億ドルと年初からやや下落している。

暗号資産エコノミーを支える存在

ステーブルコインは近年、暗号資産エコノミーを支える存在となり、2022年5月には時価総額は1880億ドルまで増加した。暗号資産取引所での取引や法定通貨と暗号資産の取引を促進する役割を担っている。

USDTを発行するテザー(Tether)社は、USDTの価値を裏付ける準備金に関する不透明な報告や、内部取引に関する厳しい監視をものともせずにそのポジションを確立している。

ウォール・ストリート・ジャーナルは先週、テザー社は2018年、改ざんした文書をもとに開設した銀行口座を使用していたと報じた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Tether’s USDT Stablecoin Market Share Rises to Highest Level in 15 Months