ビットコイン(BTC)は13日、2週間以上ぶりに2万4000ドルを超える上昇となった。シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の預金引き出しに米規制当局が介入したことで安心感が広がり、銀行セクター崩壊の可能性が米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢を後退させるとの期待が高まった。
先週10日金曜日には、シリコンバレー銀行の経営破綻のニュースが伝わり、2万ドルを割っていた。
多くのアナリストは、12日遅くに米規制当局がシグネチャー銀行とシリコンバレー銀行に対する措置を決定したことで市場が活気づいたと述べている。
「FRBの預金者救済措置は、影響が伝染するリスクについての恐怖を和らげ、ショートスクイーズが発生した」とMarketVector Indexesのデジタル資産プロダクトスペシャリストのマーティン・ラインウェバー(Martin Leinweber)氏は述べた。
13日の急騰は価格下落に賭けていたトレーダーを油断させ、約8100万ドルのショートポジションが清算された。ラインウェバー氏は「これらのポジションの大部分は、懸念が高まった10日に設定された」と指摘した。ショートスクイズは価格をさらに押し上げる傾向がある。
FRB、ハト派姿勢に?
暗号資産運用会社BitBull Capitalのジョー・ディパスクァーレ(Joe DiPasquale)CEOも、USDコイン(USDC)からビットコインへの流出、バイナンス(Binance)がリカバリーファンドのバイナンスUSD(BUSD)を使い、ビットコインやイーサリアム(ETH)を購入すると決めたことも価格上昇につながったと述べた。
12日、バイナンスは10億ドル相当のバイナンスUSDをビットコイン、イーサリアム、、バイナンスコイン(BNB)などに換え、市場をサポートすると述べた。
またこの数か月、利上げがアグレッシブ過ぎると批判にさらされてきたFRBがハト派姿勢に転換するだろうとの考え方も市場を後押しした可能性がある。
12日、ゴールドマン・サックスのアナリストは、次回、3月22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、銀行セクターに与えた影響を考慮し、利上げは行われないだろうと予想した。
だがラインウェバー氏は、救済措置が取られたもののセンチメントは依然として「不安と慎重」に包まれていると述べた。同氏は「さらなる銀行破綻の可能性」や「キャッシュフローに不安のある」企業に対する懸念が生まれていると考えている。
ビットコインのストーリー
デジタル資産の情報サービスを提供するThe Tieの共同創業者兼CEO、ジョシュア・フランク(Joshua Frank)氏は、慎重だが楽観的な見解を述べた。
「シルバーゲート銀行、シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行を失ったことは、アメリカに拠点を置く暗号資産企業にとって壊滅的。とはいえ、暗号資産市場は少なくとも一時的には救済措置にうまく反応している。アメリカの銀行をめぐる不確実性を考慮し、リスクヘッジと安全資産としてのビットコインのストーリーが盛り上がった」
さらにフランク氏は「短期的にはポジティブだが、長期的なマクロ要因にはまだ警戒すべきものが多い。米規制当局は、あきらかに暗号資産を銀行から排除しようとしており、マクロ環境はあまり良くなく、金融機関が破綻した。暗号資産、特にビットコインが回復を続けるには、2020年と2021年に半減期とインフレヘッジのストーリーで見られたような、新しいストーリーへの幅広い支持が必要になるだろう」と続けた。
アルトコインなど
イーサリアムは7%以上上昇して1675ドル付近。レイヤー2プロトコルのオプティミズム(OP)は21%、リキッドステーキングトークンのリド(LDO)は15%、暗号資産市場全体のパフォーマンスを測定するCoinDesk Market Index(CMI)は10%以上上昇した。
株式市場はまちまち。S&P500は0.1%下落、ダウ平均は0.2%下落、ナスダックは0.4%上昇した。
暗号資産関連銘柄のうち、マラソン・デジタル・ホールディングは、シグネチャー銀行に預けた1億4200万ドルにまだアクセスできると述べた後、25%上昇した。
14日には2月の消費者物価指数(CPI)が発表される。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Surges as Regulator’s Intervention Eases Fears of Contagion, Fuels Hopes for Fed Dovishness; Binance’s $1B Conversion Helps, Too