ビットコイン(BTC)のスポット市場とデリバティブ市場における1日の取引量の比率が11カ月ぶりの低水準に落ち込み、暗号資産(仮想通貨)市場で投機的な動きが再燃していることを示唆している。
韓国の暗号資産分析企業CryptoQuantが追跡したデータによると、比率は3カ月間で80%近く急落し、2022年5月16日に最後に見られた水準である0.117という最低値に達した。
この下落は、ビットコインの価格が年初来70%上昇した中で起きたもので、暗号資産市場におけるリスク許容度の向上と価格変動の可能性を示している。
ビットコインが3月21日に2万8500ドル以上の重要な抵抗に初めてぶつかって以来、この下落は非常に急激なものだった。これは、投機筋が個人投資家や長期保有者に比べて速い速度でビットコインへ資金を積み増していることを示している。
Matrixportのリサーチ&戦略責任者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は出来高比率の減少を指摘し、「2023年の暗号資産の上昇は米ドルとそれに関連する銀行の信用リスクからの分散によって引き起こされたという説は、本当に純粋なレバレッジの増加によって上昇が引き起こされたとすれば、弱い立場に立たされるかもしれない」と述べた。
「シルバーゲート銀行やシグネチャー銀行が規制当局に引き継がれたことで、法定通貨から暗号資産へのオンランプが実質的に難しくなっているためだ。このことは、暗号資産内の流動性は変わらないが、より高いレバレッジ商品に割り当てられていることを示唆している」とティーレン氏は付け加えている。
スポット市場は、即時に受け渡しする金融商品を取引するためのプラットフォームだ。デリバティブは、原資産に依存または派生する価値を持つ先物やオプションなどの商品群の契約であり、利益と損失の両方を拡大するレバレッジを伴う。デリバティブは、将来の受渡しを目的として取引される。
スポット市場の活動は通常、長期投資家と同一視される。同時に、デリバティブは、潤沢な資金供給を受け、リターンを拡大するためにリスクの高いレバレッジをかけた賭けをする高度なトレーダーや投機筋の代理人と考えられている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CryptoQuant
|原文:Bitcoin’s Spot-to-Derivatives Trading Volume Ratio Slides to Lowest in 11 Months