機関投資家、ETHステーキングへの関心高める──「シャンハイ」後、流入増加

イーサリアムブロックチェーンの大型アップグレード「シャンハイ」のスムーズな実行が今のところ、機関投資家のステーキングへの関心を加速させている。

機関投資家向けイーサリアム(ETH)ステーキングサービスプロバイダーは4月、すでに前月に比べて約3倍の流入を記録したとイーサリアム開発企業コンセンシス(ConsenSys)のアナリスト、ミヒエル・ミラノビッチ(Michiel Milanovic)氏はCoinDeskに語った。流入の約80%は4月12日のシャンハイ後のものという。

シャンハイ後、ETHは11カ月ぶりの高値2100ドルまで上昇し、ステーキング解除が可能になることで大きな売り圧力がかかり、価格が下落するのではないかとの事前の懸念を覆した。だがその後、市場全体の下落に伴い1900ドルを割っている。日本時間24日10時頃には1880ドル付近。

引き出しが可能になったことで、これまで一部の投資家を遠ざけていたロックアップに伴う流動性リスクも軽減された。

「ステーキングしていたバリデーターが引き出した後、ステーキング率は自然に増加すると期待している」(ミラノビッチ氏)

機関投資家向けステーキングサービスが活況

機関投資家向けステーキングサービスを提供するKilnの調査によると、68%の投資家がシャンハイ後にステーキングを開始するか、ステーキング額を増やすつもりと回答している。調査はシャンハイ前の2月に実施された。

Kilnの共同創業者兼最高執行責任者(COO)のトーマス・デ・フオク(Thomas de Phuoc)氏は、伝統的金融機関(TradFi)もステーキングへの関心を高めていると述べた。

「当社の営業チームは、伝統的金融機関を含めて昨年の同時期に比べて60%も多くの案件が進行中と指摘している」「現在、複数の証券会社、米国や欧州の投資銀行サービス持株会社と協議している」(フオク氏)

暗号資産ベンチャーファンド、ドラゴンフライ(Dragonfly)のアナリストがまとめたDuneのダッシュボードによると、Kilnのシャンハイ後の新規ステーキング額は2万4640ETH(約4700万ドル、約63億円)にのぼる。

同様に同業のStaked.usでは、引き出された2万6667ETH(約5100万ドル)の倍以上の5万8592ETH(1億1100万ドル)がステーキングされた。

しかし、まだ引き出しが可能になっていないステーキングプロバイダーもあるため、明確な結論を出すには時期尚早とミラノヴィッチ氏は指摘した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Pixabay
|原文:Ethereum’s Shanghai Upgrade Spurs Institutional Investment Into Staking