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仮想通貨の「レンディング」とは、保有している仮想通貨を第三者に貸し出して利子を得ることである。仮想通貨の長期保有を前提に投資するなら、レンディングの利用も検討したい。本記事ではレンディングのメリット・デメリットや最近の業界動向について紹介する。
仮想通貨レンディングとは
仮想通貨のレンディングとは保有している仮想通貨を第三者に貸し出して利益を得ることである。取引所が一定期間預かった上であらかじめ定められた金利を上乗せして返却することで利息収入が得られる。
仮想通貨で利益を得る方法は、価格が安いときに買い高いときに売るという手法で「売買差益」を得るトレードが主な方法であったが、レンディングの登場により仮想通貨で利益を得る選択肢が増えたといえるだろう。
ただし、投資家保護制度は充実しておらず、取引所が倒産した場合にレンディングに出した仮想通貨が返金される保証はない。このことを理解した上でレンディングを利用するかどうか検討しよう。
仮想通貨レンディングのメリット
仮想通貨レンディングのメリットは2つある。
- インカムゲインが得られる
- 気軽に始められる
インカムゲインが得られる
仮想通貨で利益を得る選択肢はトレードして売買差益による「キャピタルゲイン」を得ることが基本であった。インカムゲインとは、その資産を保有し続けているだけで得られる利益のことを指し、株式投資であれば配当や優待、不動産投資であれば賃料収入が相当する。
金融商品を長期保有するにあたってインカムゲインは重要な利益であるため、仮想通貨にもレンディングという利息収入が得られる手段ができたことで、長期保有にさらに適した資産となった。
気軽に始められる
レンディングを目的とした仮想通貨投資は誰でも始めやすい投資方法だ。保有して貸し出すだけで利息収入が得られるので手間がかからない。満期になれば利息収入を上乗せした仮想通貨が返金される。売買のタイミングの見極めや、チャート分析が必要なトレードと比較するとレンディングは気軽に始めやすい投資といえるだろう。
仮想通貨レンディングのデメリット
仮想通貨を保有するだけで利息収入が得られる仮想通貨レンディングだがデメリットも存在するので、理解した上で貸し出しを行おう。
- 価格変動リスクがある
- 貸し出しには制限がある
価格変動リスクがある
レンディングで貸し出しを行う通貨も常に価格が変動し続けている。仮想通貨自体の数量に変動はなくても価格が下落すれば、貸し出した資産の価値は減少してしまう。取引所は仮想通貨の価格変動に関する保証はしないため、返金の際に貸し出した通貨の価値が下がった場合は損をする可能性がある。一方で価格が上昇した場合も取引所は仮想通貨を正しく返還する必要があるので、この場合は貸し出した側が得をする仕組みとなっている。
貸し出しには制限がある
レンディングにはさまざまな制限があるので、実際に貸し出す前に制限を理解しておこう。まず貸出期間の途中で解約できない取引所が多く、中途解約を認める取引所もあるが中途解約手数料が発生するので、解約できたとしてもデメリットが大きい。また、取引所は無限にレンディング用の仮想通貨を求めているわけではないので、取引所が決める制限に到達した場合はレンディングが利用できない可能性がある。
レンディングとトレードを両立するのがベスト
レンディングは魅力的な投資方法だが、制限も多いので思うようにレンディングできない可能性もある。自由にレンディングができないことも考えればトレードと両立して行なうのが理想だ。例えば、短期や中期で売却を考える仮想通貨をトレードしながら、長期的な成長が期待可能でしばらく手放す予定がない仮想通貨をレンディングに利用するといった両立が可能である。
レンディングとトレードができる取引所の金利も含めて比較
レンディングとトレードの両立が可能な取引所について、レンディングの金利も含めて下記の表で比較した。
取引所/販売所 | 取扱通貨数 | 金利 | 手数料 |
---|---|---|---|
Coincheck | 17種類 | 14日:1% 30日:2% 90日:3% 180日:4% 365日:5% | 取引所:無料 販売所:0.1〜5.0% |
GMOコイン | 14種類 | 1ヶ月コース:1% 3ヶ月コース:3% | 取引所 Maker:-0.01% Taker:0.05% 販売所:無料 |
bitbank | 10種類 | 年間最大3% | 取引所 Maker:-0.02% Taker:0.12% 販売所:無料 |
レンディングの金利は貸出期間によって定まることが多い。また、上記の取引所ではすべての取扱通貨がレンディングの対象となっている。また、DMM BitcoinやbitFlyerなどの有名な仮想通貨取引所はレンディングサービスを始めていない。知名度の高い取引所であれば必ずできるわけではないので、レンディングができる取引所に口座を開設することが重要だ。
Coincheck(コインチェック)
取扱通貨数 | 17種類 |
レンディング対応通貨 | ビットコイン(BTC) イーサリアム(ETH) イーサリアムクラシック(ETC) リスク(LSK) ファクトム(FCT) リップル(XRP) ネム(XEM) ライトコイン(LTC) ビットコインキャッシュ(BCH) モナコイン(MONA) ステラルーメン(XLM) クアンタム(QTUM) ベーシックアテンショントークン(BAT) アイオーエスティー(IOST) エンジンコイン(ENJ) オーエムジー(OMG) パレットトークン(PLT) |
レンディングの金利 | 14日:1% 30日:2% 90日:3% 180日:4% 365日:5% |
取引所手数料 | 無料 |
販売所手数料 | 0.1〜5.0% |
Coincheckは取扱通貨数とレンディング対応通貨が共に最高水準の仮想通貨取引所だ。仮想通貨の取引で取り扱う全ての通貨が貸付の対象で、貸し付ける期間のプランも5パターンと充実している。さらに、レンディングにおける金利も最大5%と高い。
貸出数量の下限は10万円相当だ。貸出にはCoincheckの審査が必要であり、借り受ける量に上限があるため、必ずしも希望する数量やプランでサービスを利用できるとは限らない。しかし、シンプルな操作性のスマホの取引アプリと最低投資額は500円以上と投資のハードルは低いので、レンディングに興味がある仮想通貨投資初心者に最適な取引所だ。
GMOコイン
取扱通貨数 | 14種類 |
レンディング対応通貨 | ビットコイン(BTC) イーサリアム(ETH) ビットコインキャッシュ(BCH) ライトコイン(LTC) リップル(XRP) ネム(XEM) ステラルーメン(XLM) ベーシックアテンショントークン(BAT) オーエムジー(OMG) テゾス(XTZ) クアンタム(QTUM) エンジンコイン(ENJ) ポルカドット(DOT) コスモス(ATOM) |
レンディングの金利 | 1ヶ月コース:1% 3ヶ月コース:3% |
取引所手数料 | Maker:-0.01% Taker:0.05% |
販売所手数料 | 無料 |
GMOコインのレンディングサービスは貸し付ける期間に応じて1カ月コースと3カ月コースの2種類があり、全ての通貨で1カ月は金利1%、3カ月なら金利3%で固定されている。比較的、堅実な取引を狙いたい人に向いている。
また、中途解約が可能である点は他の取引所のサービスにはない特徴だ。償還時に受取予定の貸借料の10%が中途解約手数料として発生するが、他のサービスよりは比較的リスクをとった数量を貸付しやすい。最小貸出数量はビットコインで0.1BTCとなっている。Coincheckでは取り扱いのない仮想通貨の貸付の対象となっているので、合わせて口座開設しておくと便利だ。
bitbank(ビットバンク)
取扱通貨数 | 10種類 |
レンディング対応通貨 | ビットコイン(BTC) リップル(XRP) ライトコイン(LTC) イーサリアム(ETH) モナコイン(MONA) ビットコインキャッシュ(BCH) ステラルーメン(XLM) クアンタム(QTUM) ベーシックアテンショントークン(BAT) オーエムジー(OMG) |
レンディングの金利 | 最大3% |
取引所手数料 | Maker:-0.02% Taker:0.12% |
販売所手数料 | 無料 |
bitbankは取り扱う通貨全てでレンディングが可能で、最大年率3%で1年間レンディングが行えるサービスを提供している。基本的に中途解約はできないが、中途解約が認められる場合は5%の手数料が発生する。
取扱通貨数は10種類と最も少ないが、マイナーなアルトコインを取り扱っている点が特徴だ。また、ビットコインの通貨ペアも取り扱っており、ビットコインの通貨ペアも含めると取扱銘柄数は19種類と最多となる。レンディングも含めて幅広い取引をしたい人に向いている。また、取引画面がスマートなデザインで初級者から上級者まで使いやすいことで知られる。チャートや取引情報は24時間365日リアルタイムで更新され、高性能チャートのTradingViewを実装しており、タイミングを逃さず取引できる。
LINE BITMAX(ラインビットマックス)
取扱通貨数 | 6種類 |
レンディング対応通貨 | リンク(LN) ビットコイン(BTC) イーサリアム(ETH) リップル(XRP) ビットコインキャッシュ(BCH) ライトコイン(LTC) |
レンディングの金利 | 最大8% |
取引所手数料 | 無料 |
販売所手数料 | 無料 |
LINE BITMAXは、LINE傘下の暗号資産事業を行うLINE Xenesis株式会社が立ち上げた仮想通貨取引所だ。貸出期間は最小1日から可能で、LINEアプリから取引できる手軽さから初心者に向いている。
レンディングサービスは貸出期間に応じて「固定期間型」と「連動期間型」の2つのプランがあり、固定期間型は貸出期間が30、60、90日の3種類から選択でき、中途解約はできないが利回りは高い。一方、変動型は最短当日・最長7日後に返還を受けられる。価格変動に対処しやすい分、利回りは低く設定されている。手数料は無料だが、スプレッドにより実質手数料が高くなる点は注意したい。
BITPOINT(ビットポイント)
取扱通貨数 | 14種類 |
レンディング対応通貨 | ビットコイン(BTC) トロン(TRX) イーサリアム(ETH) ビットコインキャッシュ(BCH) ライトコイン(LTC) リップル(XRP) ベーシックアテンショントークン(BAT) カルダノ(ADA) ジャスミーコイン(JMY) ポルカドット(DOT) リンク(LNK) ディープコイン(DEP) アイオーエスティー(IOST) クレイ(KLAY) |
レンディングの金利 | 募集ごとに決定 |
取引所手数料 | 無料 |
販売所手数料 | 無料 |
BITPOINTは、新しい仮想通貨の取り扱いに注力している仮想通貨取引所で、他の取引所にはない仮想通貨を取り扱っていることで知られる。
また、貸付の条件は募集ごとに設定されるが、過去には新しい仮想通貨の上場を記念して年利100%キャンペーンを実施したことも注目された。常に好条件とは限らないが、チャンスを逃さないためにも口座を作っておいて損はないだろう。
レンディングのみができる取引所は?
BitLending(ビットレンディング)
BitLendingは株式会社J-CAMが運営する仮想通貨のレンディングサービスのみを行う取引所だ。5種類の通貨の預け入れができ、全ての通貨で金利は最高8%と高い水準を設定している。最低貸出期間は1カ月で、その後は違約金なしでいつでも解約が可能であるのも大きな特徴だ。
レンディング業界に関する最新ニュース
年利20%超も狙える新しいサービスが登場
再⽣可能エネルギーを活⽤した仮想通貨マイニング事業を手がける国内企業「FUELHASH」から昨年12月、新たなレンディングサービス「クリプトレンド」が登場した。これは個人投資家を対象としたサービスで、その金利は「暗号資産の値動きが予測どおりだったか」に応じて変動する。
対象通貨はビットコイン、イーサリアム、イーサリアムクラシック、テザー、USDコインの5種類で、年利は条件次第では20%以上にも及ぶ可能性もあり、注目を集めている。
レンディング大手「ジェネシス」が大幅リストラ
仮想通貨レンディング大手のジェネシスは1月、半年間で2度目となる30%の人員削減を行った。また、連邦破産法11条の適用申請を検討中とも報じられており、1レンディング部門からの引き出しを停止以降、引き出し再開の計画は出されていない。
仮想通貨企業の破産は昨年から相次いでおり、ジェネシスが破産した場合、アラメダやBlockFi、セルシウス、FTX、スリーアローズ、ボイジャーらに次ぐことになる。
米SEC、ジェネシスとジェミナイを提訴
米証券取引委員会(SEC)は1月12日、暗号資産(仮想通貨)のレンディングに関わる米ジェネシスと米ジェミナイの2社を提訴したと発表した。投資家から仮想通貨を預かり、利息を付ける事業は「金融商品」に該当すると判断し、SECに登録しないままサービスを提供したのは証券法違反に当たると訴えている。
米当局、銀行に暗号資産リスクを警告する声明
米連邦準備理事会(FRB)と米連邦預金保険公社(FDIC)、米通貨監督庁(OCC)は1月3日、暗号資産(仮想通貨)が銀行の事業モデルに及ぼすリスクについて警告する初の共同声明を公表した。昨年、仮想通貨交換業大手FTXトレーディングが経営破綻し、創業者が逮捕されたことの余波が大きく金融市場を揺るがせていることを受けた動きとみられる。
FRBや米連邦預金保険公社(FDIC)などは声明で「仮想通貨に特化した(銀行の)事業モデルに、安全性・健全性の観点から重大な懸念がある」と警告した。
アメリカ議会で仮想通貨規制強化の声が高まる
米議会では、仮想通貨業界の規制強化の機運が高まっている。上院では1月14日、議員の間から既存の金融規制の下で仮想通貨の規制を強めるべきだとの声が上がった。
規制強化をどう進めるかを巡っては見解が分かれおり、監督権限を米証券取引委員会(SEC)に委ねたいとする意見や、仮想通貨業界における資金洗浄の抜け穴をふさぐことを狙った法案が必要とする声が上がっており、今後規制の強化が進む見通しだ。
レンディングは計画的に
レンディングで貸し出している通貨を売却して新しい通貨を買うことはできない。中途解約をする場合は高い手数料を払う必要があるので、基本的に中途解約は行わないほうがよいだろう。レンディング中は資金が拘束されるので計画的に適切な範囲で利用しよう。
関連FAQ
レンディングとは?
仮想通貨のレンディングとは、自身が保有している仮想通貨を一定期間、取引所などの第三者に貸し出すことだ。一定所から返却時に金利を上乗せしてもらうことで利息収入を得ることができる。
ただし、投資家に対する保護制度は充実しておらず、一般的に仮想通貨を貸し出している取引所が倒産などでサービスが続けられなくなった場合、資産が戻ってくるかどうかの保証はない。
レンディングのメリットは?
1つ目のメリットは、保有する仮想通貨を第三者に貸し出すだけで利息収入を得られるため、手間がかからないことだ。一般的に、申し込みも数分で完了できるため、新規参入しやすい。
2つ目は、誰でも気軽に始めやすいことだ。満期になれば利息収入を上乗せした仮想通貨が返金されるシンプルな仕組みであるため、分析や経験が必要なトレードとは異なり、詳細な知識がなくても利用できる。
レンディングのデメリットは?
1つ目は価格変動のリスクがあるということだ。貸し出した仮想通貨の価格が下落すれば、資産価値も減少する。取引所は価格変動に関する保証はしないため、返金時に損をするリスクがあることはあらかじめ留意しておきたい。
2つ目は、レンディングの利用にはさまざまな制限が発生するということだ。取引所が定めるルール内でレンディングしなければならないため、トレードに比べて自由度は欠ける。例えば、貸出期間の途中で解約できない取引所がほとんどであり、できたとしても多額の手数料が発生するため現実的ではない。また、取引所が決める制限に達した場合は、それ以上のレンディングはできない。実際に貸し出す前に、こうした制限について理解しておく必要がある。
レンディングをする際の取引所の選び方は?
レンディングは魅力的な投資方法である一方、制限も多いため「トレード」との両立が賢明だ。そのため、レンディングとトレードの両方に対応している取引所を選びたい。ただし、知名度が高いからといって必ずしも両方に対応しているわけではないので、しっかり確認しておきたい。
レンディングで注意することは?
取引所では、貸し出している仮想通貨を売却して新しい通貨を買うことはできない(※中途解約は、高い手数料を払うがあるので避けたい)。従って、レンディング中は資産が凍結されることを踏まえた上で、計画的に適切な範囲内で利用することが最も大切だ。
最近の業界の動向は?
米レンディング大手であるセルシウスの引き出し停止を皮切りに、エストニアのコインローン(CoinLoan)、イギリスのコインフレックス(CoinFLEX)も出金の制限や停止を発表している上、破産申請も続いているのが現状だ。シンプルな投資サービスであることから世界で利用者が増えているが先行きには警戒が必要だ。レンディングを始めるにあたっては、こういったニュースも引き続き注視しておいた方が良いだろう。
参考文献
Coincheck(コインチェック)で現在取引できる通貨は何種類?仮想通貨(暗号資産)の購入手順(Coin check)
https://coincheck.com/ja/article/336
手数料(Coin check)
https://coincheck.com/ja/info/fee
入れて、ほっとくだけ Coincheck貸仮想通貨サービス(Coin check)
https://coincheck.com/ja/lending
4割が塩漬け状態?仮想通貨の塩漬け状態を打破する4つの方法(Coin check)
https://coincheck.com/ja/article/408
仮想通貨レンディングの始め方と知っておくべき3つの注意点(Coin check)
https://coincheck.com/ja/article/361
貸暗号資産(GMOコイン)
https://coin.z.com/jp/corp/product/info/lending/
暗号資産(仮想通貨)チャート一覧・マーケット情報(GMOコイン)
https://coin.z.com/jp/corp/information/
手数料(入出金・取引)(GMOコイン)
https://coin.z.com/jp/corp/guide/fees/
暗号資産を貸して増やす(bitbank)
https://bitbank.cc/docs/lending/
取扱通貨ペアおよび注文単位(bitbank)
https://bitbank.cc/docs/pairs/
手数料(bitbank)
https://bitbank.cc/docs/fees/