マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)は「暗号資産(仮想通貨)と暗号資産サービスプロバイダーを無差別に禁止することを各国に要求しているわけではない」と、パキスタンの財務大臣がFATAが南アジアの国にそのような条件を課したと述べたと報じられた後に、米CoinDeskに電子メールで伝えた。
5月17日、パキスタンのニュースメディアは、同国のアイシャ・ガウス・パシャ(Aisha Ghaus Pasha)財務・歳入担当国務大臣が、FATFの監視強化国である「グレーリスト」から外れるためには暗号資産を合法化できないという条件を課されたと語ったと報じた。また、別の報道では、これはパキスタンの暗号資産への姿勢が、FATFが設定した条件に反するためだとされている。
パシャ氏は、同国の上院財務常任委員会で、暗号資産は「パキスタンでは決して合法化されない」と語ったと、地元メディアは報じている。
FATFの「グレーリスト」に載ることは、マネーロンダリングやテロ資金調達に対抗する体制の欠陥に対する叱責と考えられている。
パシャ氏の発言は、不安定な政治状況もあって国の経済が低迷しているにもかかわらず、パキスタン政府が暗号資産を禁止したとみなされるものだ。また、パシャ氏は暗号資産を禁止するための作業を開始するよう当局に指示したとも伝えられている。
2022年1月、同国の中央銀行は暗号資産を禁止する予定であると宣言し、新しい金融技術に関して初めて明確な立場を示したと米CoinDeskは報じている。
FATFは、各国が暗号資産セクターのマネーロンダリングやテロ資金調達のリスクを理解し、ライセンスを発行したり、取引所に登録を義務付けたりして、他の金融機関と同じように同セクターを監督することを求めているだと述べている。
FATFは、暗号資産サービスプロバイダーに対し、顧客のデューデリジェンス、記録の保存、疑わしい取引の報告など、金融機関と同様の予防措置を実施し、トラベルルール(暗号資産サービスプロバイダーに対し、一定基準以上の取引に関する情報の収集と共有を求めるもの)を遵守するよう求めている。
パシャ氏の発言にFATFは直接反応していないが「各国は暗号資産と暗号資産サービスプロバイダーを禁止することが認められているが、義務ではない」と述べている。
米CoinDeskは、パキスタンの財務省および外務省の事務所にコメントを求めているが、まだ回答は得られていない。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:FATF Did Not Require Pakistan to Ban Crypto to Stay Off Its ‘Grey List’