ステーブルコインの時価総額、14カ月連続低下──暗号資産価格への逆風に

ステーブルコインの時価総額は14カ月連続で縮小となりそうだ。これは暗号資産市場から資本が流出しているサインであり、暗号資産価格の回復にとって厄介な傾向となる。

デジタル資産データ企業CCDataは、ステーブルコインの時価総額は1300億ドルまで減少しており、2021年9月以来の低水準となっていると5月23日のレポートで述べた。ステーブルコインの時価総額は2022年3月以降、継続的に縮小している。

アナリストは、ステーブルコインの時価総額の縮小は、流動性の悪化を意味し、暗号資産価格にとって逆風になると述べている。

「ステーブルコインは、暗号資産エコシステムの流動性。流動性が高ければ高いほど、投資や投機が可能になる。利用場面が増えているにもかかわらず、時価総額が低下を続けていることは、長く続く弱気相場からまだ抜け出せていないことを示している」とマクロアナリストのトム・ダンリーBe(Tom Dunleavy)氏はCoinDeskに述べた。

CCData

米銀大手JP.モルガン・チェースは先週、ステーブルコインが縮小を止めるまで、暗号資産が持続的な回復を見せる可能性は低いとレポートに記している。大手投資銀行ゴールドマン・サックスも同様に、今年初めのレポートで、ステーブルコインの縮小は暗号資産市場の一種の量的引き締めに相当し、流動性とレバレッジが低下していると述べた。

CCDataのレポートによると、ステーブルコインの取引高も今月、40.6%急落し、中央集権型取引所での取引高は4600億ドルとなった。これは、2022年12月以降の最低水準。

「取引高の減少は、主要な暗号資産がレンジに留まり、主なサポートとレジスタンスを破ることができなかったことに起因する」(CCData)

そうした状況のなかで、TrueUSD(TUSD)は市場全体の低迷に逆らって、CCDataによると、取引高が今月現時点までに290億ドルまで上昇。ライバルのUSDコイン(UCDC)、バイナンスドル(BUSD)を抜き、始めて、中央集権型取引所で2番目に取引されるステーブルコインとなった。

TUSDの復活は、取引高で最大規模の暗号資産取引所バイナンス(Binance)が、TUSDを使ったビットコイン(BTC)の取引手数料を無料にするなど、TUSDの利用を促進したことが要因となっている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CCData
|原文:Stablecoin Market Shrinks for 14th Straight Month, Posing Potential Headwinds for Crypto Prices