暗号資産(仮想通貨)市場の流動性を追跡する重要な指標は週末に急落し、価格変動を増幅させる可能性のあるごくわずかな注文を残すだけになった。
暗号資産調査会社Hyblock Capitalのグローバルビッド&アスク指標は、世界中で上場されている1100以上のコインのビッド&アスク注文のドル額を集約したもので、6月10日にスポット市場全体で20%下落した。
この急落は、ファンドが保有コインを清算するという噂の中、ソラナ(SOL)、ポリゴン(MATIC)、ドージコイン(DOGE)などのアルトコインが暴落したことで起こった。
暗号資産ヘッジファンドAssymetricのCIO、ジョー・マッキャン(Joe McCann)氏によると、一部のマーケットメーカーがアルトコインの暴落時に市場から撤退した可能性が高く、注文量が急激に減少したという。
「Hyblock Capitalのグローバルビッド&アスク指標は20%も下落した。多くのマーケットメーカーが注文を引き揚げて、紙のように薄いオーダーブックを作ったようだ」とマッキャン氏はツイートしている。他のオブザーバーは、流動性の低下は1つのマーケットメーカーが担保を使い果たしたことに起因すると主張した。
Think it was only one, and don’t think they pulled, think they got called and ran out of collateral…
— Adam Cochran (adamscochran.eth) (@adamscochran) June 10, 2023
流動性が低いということは、トレーダーが安定した価格で大きな注文を執行するのに苦労する可能性があるということだ。また、小さな注文が相場に大きな影響を与える可能性もある。
オーダーブックは、マーケットメーカーや他の市場参加者によって投稿された、特定の金融商品のすべての未決済注文と気配値を一覧表示したものだ。ビッドは、ユーザーがその金融商品を買うために支払う意思のある最高値であり、アスクまたはオファーは、誰かがその金融商品を売る意思のある最低価格だ。レスティング・オーダーは、市場の相場より低い価格で買う、または高い価格で売るための指値注文だ。
マーケットメーカーは、ビッドとアスクの注文を作成し、オーダーブックに流動性を提供する責任を負う団体だ。
緑色の線は約定を待つビッドのドル額を、赤色は同じくアスクのドル額を示している。6月10日のアジア時間には、どちらも20%以上暴落して5億ドル以下になった。
流動性の低下は、アメリカのインフレデータ発表と連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定後に、市場が平均以上のボラティリティを示す可能性があることを意味する。FXStreetのロイターデータによると、消費者物価指数はアメリカ東部時間13日午前8時半(協定世界時午後12時半、日本時間午後9時半)に発表され、FRBは同14日午後2時(協定世界時午後6時、日本時間15日午前3時)に政策金利を発表、現状維持すると予想されている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Crypto Global Bid and Ask Metric Plunged 20% Over Weekend, Points to Paper Thin Liquidity