米SECの次の標的は、ステーブルコインとDeFi──独投資銀行が指摘

アメリカ証券取引委員会(SEC)による暗号資産(仮想通貨)業界の取り締まりで、ステーブルコインと分散型金融(DeFi)が次のターゲットになる可能性が高いと、ドイツの投資銀行ベレンベルク(Berenberg)が6月20日の調査レポートで述べている。

同行によると、SECは今後、時価総額上位のテザー(USDT)とUSDコイン(USDC)を含むステーブルコインや、DeFiプロトコルを規制の対象にする可能性があるという。

SECは今月初め、連邦証券法違反の疑いで暗号資産取引所バイナンスUSの運営会社バイナンス(Binance)と創業者のCZことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏を提訴すると発表した。そしてその1日後にはライバル取引所のコインベース(Coinbase)を同様の容疑で提訴した。

もし、SECが、規制されていないDeFiプロトコルが規制されている金融業者や取引所に代わる実行可能な選択肢として機能する可能性を減らそうとしているのであれば、「分散型金融の生命線として機能しているステーブルコインを標的にする」可能性があるとマルク・パルマー(Mark Palmer)氏率いるアナリストは書いている。

また、ステーブルコインをターゲットにすることで、SECはDeFiのエコシステムを弱体化させる可能性があるという。

ベレンベルクによると、USDCがアメリカの規制当局の標的となった場合、コインベースの収益に大きく影響する可能性があるという。同取引所は2023年第1四半期に、USDC準備金の金利から1億9900万ドル(約282億2000万円、全体の約27%に当たる)の純収入を得ている。

ビットコイン(BTC)は、SECが未登録証券ではなく商品であることを認めており、一連の取り締まりの最終的な受益者となる可能性が高いとレポートは述べている。

また、規制強化によってアメリカの暗号資産業界がよりビットコインに注目するようになる可能性が高いため、マイクロストラテジー(MicroStrategy)の株は、同社がビットコインの取得と保有に重点を置いていることから、アウトパフォームするのに適したポジションにあると見られる。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Nikhilesh De/CoinDesk
|原文:Stablecoins, DeFi Likely to Be SEC’s Next Targets in U.S. Crypto Crackdown: Berenberg