10億人のユーザーを目指して
エンターテインメント、ロイヤリティ、ゲームなど業界は、Web3のマスアダプション(大規模な普及)に向けて態勢を整えている。暗号資産(仮想通貨)市場が低迷し、多くの問題を残している一方で、Web3と、分散型・クリエイター重視のデジタルの未来をめぐるセンチメントは依然としてポジティブ。
「ステルス」ツールとしてのエンターテインメント
エンターテインメント業界のエグゼクティブらは、テレビや映画のようなビジュアルメディアは、大規模な消費者を段階的かつ流動的にWeb3にオンボード(参加)させる可能性があると述べる。グローバル・タレント・エージェンシーWMEのデジタル戦略責任者クリス・ジャクミン(Chris Jacquemin)氏は「メインストリームへの普及は、おそらく意識的な選択ではなく、このテクノロジーによってたまたま後押しされたように思えるだろう」と語った。
NFTのメンバーシップとファンダムの活性化
NFTによって、アーティストはチケットの配布方法や、エンゲージメントに対してファンに報酬を与えることを自身でコントロールできるようになったとチケットやロイヤリティの専門家らは語る。
「自分自身でNFTを発行しているアーティストは、トークンを活用したセールス方法を試しており、トークンを数多く保有する人にプレミアシートや先行公演を用意したり、あるいはシンプルにツアーの先行販売を行っていると米チケット販売企業Ticketmasterのエグゼクティブ・バイスプレジデント、デヴィッド・マーカス(David Marcus)氏は述べた。
※ファンダム(fandom):熱心なファンやそうしたファンが作りだすカルチャーを総称して表す用語
「真の所有権」を提供するゲーム
ゲーム業界のリーダーらによると、世界中のゲーマーはゲーム内資産に毎年数十億ドルを費やしているが、実際に資産を所有することはないという。だがNFTによって、プレイヤーはそうした資産を売買したり、取引することができるようになる。つまり、NFTはゲームの内外でプレイヤーに価値をもたらす。
「ゲームに費やしたものに対して、単に何かが戻ってくるということ。いわばある種の相互運用可能なユーティリティを所有するということ」と人気NFTを手がけるユガラボ(Yuga Labs)のチーフ・ゲーミング・オフィサー、スペンサー・タッカー(Spencer Tucker)氏は述べた。
華々しい取り組み
各大手スニーカーメーカーは、Web2ブランド、Web3ブランドと提携し、何百万人ものファンにデジタルグッズを提供し続けている。これらのコラボレーションは、有意義なユーティリティと十分に考え抜かれてデザインされたデジタルアイテムを提供し、Web3は押し付けがましく、不便なものではないことを証明している。
ナイキ、フォートナイトと提携
ナイキ(Nike)は新たなパートナーシップでデジタル領域での拡大を続けている。人気オンラインゲーム「フォートナイト(Fortnite)」と提携し、プレイヤーにデジタルスニーカーを報酬として与える新しいバーチャル体験「Airphoria」を開始。フォートナイトの2億4000万ユーザーを「.SWOOSH」に取り込もうとしている。
「Airphoria」は、ナイキ、フォートナイトの販売元のEpic Games、フォートナイト内にブランデッドゲームを制作するBeyond Creativeがコラボレーションして構築、プレイヤーはフォートナイトと.SWOOSHを横断してデジタルアイテムを使えるようになるという。
「これはすべて、優れたグラフィック、島、アカウントの連携などで、ナイキのAir Maxブランドをフォートナイトの世界にもたらすための大きな取り組みの一部」とEpic Gamesの広報担当者はCoinDeskに語った。
プーマ、NFTスニーカー発売
プーマ(Puma)は「GutterMelo MB.03」と名付けた新しいスニーカーを発表。NFTとリアルなスニーカーがペアになっており、29日に人気NFTマーケットプレイス「オープンシー(OpenSea)」で販売される。
カラフルなスニーカーは、プーマとWeb3ストリートウェアブランド「Gutter Cat Gang」、NBAのラメロ・ボール(LaMelo Ball)選手のコラボレーションによるもの。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Airphoria(Nike/Epic Games)
|原文:How Gaming, Loyalty and Entertainment Are Adapting to the Rise of NFTs and Web3