- ビットコインの価格は2019年8月29日安値 9,320ドル(約98万7440円)から回復しているが、これは過去30カ月で最高の市場占有率の高さに裏付けられる。
- しかし、取引量が少ないことから、回復は短期的なもので、一両日中に9,750ドル(約103万2800円)へ反落する可能性もある。週単位のチャート指標は弱気相場を示し続けている。
- 短期の強気見通しを取り戻すには、8月20日に記録した弱気相場での高値となる10,956ドル(約116万1800円)を超える数字が協定世界時(UTC)ベースの終値で必要になる。
- 強気相場の完全復活とするには、12,000ドル(約127万2100円)を超える週間の終値(日曜日(UTC))が求められる。
占有率は70%超え、過去30カ月間で最高を記録
ビットコイン(BTC)は記事執筆時点で順調な推移を見せており、仮想通貨市場における占有率は70%超えと、過去30カ月間で最高を記録した。
BTCはビットスタンプ(Bitstamp)で直近8日間の最高値10,506ドル(約111万3800円)に達し、記事執筆時点では10,350ドル(約109万7200円)で取引されており、24時間で6%上昇した。これは、BTC が8月29日に記録した月間の安値9,320ドル(約98万7440円)から12.7%上昇している。
この9週間、BTCは一貫して9,000〜10,000ドル(約95万3700〜105万9700円)の幅で買い手を得ている。しかしその結果としての反転は、下のチャートの通り、高値切り下がりを生むこととなり、これは強気相場における限界の兆候とされる。
現時点で焦点は、10,000ドル割れ水準からの直近の回復が、10956ドル(約116万1800円)超えの動きを伴って、弱気相場の高値切り下げ傾向を飲み込んでしまうかどうかである。
コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)によれば、仮想通貨市場全体における占有率が、BTCは2017年3月以来の最高水準である70.1%へ急上昇しており、過去4日間に見られた値上がりは持続可能に見え、さらに続く可能性もある。
回復は短期的なものである可能性
BTC価格が月間の安値である9,400ドル(約99万6500円)割れまで下がった8月29日、BTCの支配率は69%であった。
先月言及した通り、多くの観測筋は、値上がりが市場占有率の上昇に裏付けられている場合にそれを持続可能とみなす。この動きは、資金がアルトコイン購入のためではなく、長期的保有のためにBTCに流れたことを示している。
しかし、取引量は異なる様相を呈しており、ここ4日間の回復は短期的なものである可能性が示唆される。
時間単位、日単位で見ると……1万2,000ドルへの道も?
時間単位のチャート(上記左)において直近4日間に見られた緑棒(買い注文)は、8月29日における月間の安値まで落ちた際の赤棒(売り注文)に比べて小さい。
買いがわずかに上昇したのは、9月2日の21時(UTC)までの1時間だけだ。その間に、BTCは10,200ドル(約108万1100円)から10,470ドル(約110万9500円)へと値を上げた。さらに、9月1日の緑棒(上図右)は、10,000ドル(約105万9700円)超えの過去の高騰の際に見られたもの(矢印で表示)より著しく小さい。
つまり、ここ4日間で見られた価格の回復は実質を欠いており、おそらくは9,750ドル(約103万3300円)までの揺り戻しが、一両日中に見られる可能性もある。
買いが多く、UTC終値で10,956ドル(約116万1800円)を超えた場合には、日単位のチャートによる見通しが強気相場となる可能性もある。そうなれば、12,000ドル(約127万2100円)への道も開かれるだろう。
週単位で見ると……強気筋の圧力の弱まり?
ビットコインの強気筋は過去10週連続で、週間の終値(日曜日: UTC)を12,000ドル(約127万2100円)超えさせることに失敗している。一方で売り手は、一貫して価格を9500ドル(約100万7100円)未満に抑えることができていない。
5週、10週の移動平均のクロスオーバーを含め、主要な指標は弱気に振れており、下放れの可能性が高いように見える。
MACD(移動平均収束拡散手法)ヒストグラムも2月以来初めて0を下回り、価格と取引量を両方考慮するチャイキン・マネー・フローは4カ月半ぶりの低水準である0.10へと低下し、強気筋の圧力の弱まりが示されている。
(なお著者は記事執筆時点で仮想通貨資産を保有していない)
翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock 図:Trading View
原文:Bitcoin’s Total Share of Crypto Market Now Highest Since March 2017