ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は、四半期オプションの期限切れとドル指数の上昇が投資家を動揺させることもなく、最近の価格レンジ内で取引が行われた。
協定世界時(UTC)6月30日午前8時(日本時間午後5時)に、約45億ドル(約6510億円)相当の約15万件のBTCオプション契約と23億ドル(約3327億円)相当の120万件のETCオプション契約が、世界有数の暗号資産オプション取引所であるデリビット(Deribit)で失効した。デリビットは世界の暗号資産オプション取引の85%以上を管理している。
BTCオプションのマーケット・メーカーが「ロング・ガンマ」であり、ヘッジ活動によってスポット価格の動きに影響を与える可能性があったことを考えると、この期限切れは極めて重要だった。米CoinDeskのデータによると、時価総額最大の暗号通貨であるBTCは、決済までの数日間、3万ドルと3万1000ドルの間で取引され、その後も狭いレンジに留まり、10時40分(UTC)の時点で3万700ドルと、わずか1%の上昇を記録した。
6月のビットコインオプションのいわゆる最大ペインポイントは2万6500ドルだった。これは、オプションの買い手が満期時に最も損をする水準のことだ。
一般的な理論では、オプションの売り手(通常は大口トレーダー)は、買い手に最大の損失を与えるために価格をそのレベルまで押し上げようとするため、満期に向けてその価格が磁石のように作用すると言われている。2020年後半から2021年前半にかけての強気相場では、ビットコインは一貫して期限切れを前に最大ペインポイントに引き寄せられ、決済後に上昇を再開した。
期限切れが終わり、磁石はなくなった。そのため、他の要因に変化がなければ、暗号資産は上昇を再開する可能性がある。
「2万6500ドルという大幅に引き下げられたBTCの最大ペインポイントは、期限切れ後の価格に対する一般的な下げ圧力を緩和する可能性がある」と、デリビットのチーフ・コマーシャル・オフィサーであるルーク・ストリジャース(Luuk Strijers)氏は述べた。
イーサリアムの6月満期オプションの最大ペインポイントは1700ドルだった。ETHは記事執筆時点で約1900ドルで取引されており、この日は2%の上昇と過去1週間以上で最大の上げ幅になった。
経済指標に注目
ドル指数(DXY)は、ユーロを含む主要通貨に対する米ドルの価値を追跡するもので、記事執筆時点でに2週間ぶりの高値103.50を記録した。注目すべきは、6月29日に発表された週間失業保険申請件数で、先週新たに失業手当を申請したアメリカ人の数が過去20カ月で最も減少した。
6月30日の12時半(UTC、日本時間午後9時半)には、アメリカ商務省経済分析局(BEA)が連邦準備制度理事会(FRB)が好んで使用する物価上昇率指標、コア個人消費支出(PCE)価格指数を発表された。
このデータはその結果によっては、インフレの中核的要素が依然として頑強であることを示し、アメリカの長期金利上昇の根拠を強め、ドル高を助長する可能性が高い。
ファクトセット(FactSet)が調査し、バロンズ(Barron’s)が発表したエコノミストの予測によると、同指数は4月の0.38%上昇に続き、5月も前月比0.4%の上昇と予想されていたが、結果は0.3%の上昇だった。また、前年同月比では4.7%の上昇で前月から変化はないと予想されていたが、結果はほぼ予想通りの4.6%の上昇だった。
DXYの上昇は通常、世界的な金融引き締めと市場のリスク回避につながる。しかし、ブラックロック(BlackRock)、インベスコ(Invesco)、フィデリティ(Fidelity)による最近のスポットビットコインETFの申請により、暗号資産市場のセンチメントが好転しているため、ビットコインの下落があったとしても小幅に留まる、あるいは短期間で収まる可能性がある。
トレーダーはまた、コアPCE値とともに注目されるアメリカの個人消費と所得統計からヒントを得るかもしれない。
|翻訳:CoinDesk JAPANN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/Highcharts.com
|原文:Bitcoin Steady Near $31K After Options Expiry; Dollar Index Rises Before Key U.S. Inflation Data