日本は未来か、数年遅れか──米CoinDesk記者が「IVS2023 KYOTO」で感じたこと

日本のインターネット事情を少し調べてみると、やや古臭く見えることに気づくだろう。

日本では欧米よりも多くのことがオンラインで可能だが、いくつか顕著な例外があり、全体的には日本のインターネット事情は10年古く感じる。iPhone4(日本では2010年発売)が発売された当時のWebのようだ。

「政府は、日本はWeb2に完全に出遅れたと感じている。(中略)そこで今、政府はWeb3のことを、日本が積極的に活用できる可能性があり、この分野における新しい世代のテクノロジー企業とビジョンを持った人たちを生み出す可能性があるものと捉えている」と先週、京都で「IVS2023」「IVS Crypto 2023」を開催したIVC設立パートナーの田中章雄は語り、さらに次のように続けた。

「日本からWeb2の大企業は登場していない」

Web3の黎明期における日本の規制の成功については多くが語られている。Web3業界を公然と敵視しているアメリカとは違い、日本はWeb3に積極的に受け入れているようで、規制に取り組んできた。日本における規制は、2013年にマウントゴックス(Mt. Gox)が破綻して多くの被害者を出したことから生まれた。そしてその結果、FTX崩壊でも日本は大きな被害を出さなかった。

日本のWeb3イベント

では、日本のWeb3イベントはどのようなものだろうか?

欧米の強気市場の絶頂期によく似ている。

NFTとGameFi(ゲーミファイ)が大きなポジションを占めており、奇妙なことをエンタープライズ・ブロックチェーンも注目を集めている。複数の日本の大企業がWeb3戦略を発表し、多くの資金が投じられている。だが、そうした戦略はまだ曖昧で(例えば「炭素クレジット取引」や「医療情報の記録」など)、絵に描いた餅だ。

田中氏は、日本では状況が違っていると強調した。

例えば、日本のGameFi開発者は「暗号資産投機家ではなく、ゲーマーにサービスを提供したいと考えている」と田中氏。

「GamiFi開発者はおそらく、日本以外で見られるような投機的なものを作ろうとはしない。なぜなら、逆効果になり、コアなゲームファンに悪影響を与える可能性があるからだ」

セガは、このことをよく知っている。NFT参入を発表したとき、ファンから強い反発を受け、Web3参入が「単なる金儲けと受け取られるのであれば、(参入計画を)進めないという判断をしたいと思います」とスタンスを修正した。

スクウェア・エニックスも同じ。長い歴史を持つシリーズの中でも最高傑作とされる『ファイナルファンタジーVII』のキャラクターなどをNFT化するという決断を、株式市場は好意的に受け止めたが、ファンは嫌った。

結局のところ、スクウェア・エニックスのNFTは投機的なものにはなっていない。ユーザーは購入したNFTを転売することはできないからだ。

実は保守的?

Web3を受け入れることについて、日本は実は強気な人たちが語っていることよりも、やや保守的と考えざるを得ない。

イベントはGameFiやNFTの話題で持ちきりだった。しかし、日本で最も有名なIP(知的財産)ホルダーはGameFiやNFTから大きく距離を置いている。任天堂は3月、NFTとメタバースの専門家の採用を検討していたが、何も具体化していない。田中氏は、任天堂が何かを行うにしても、時間がかかるだろうと述べた。

イベントのオープニングを飾った岸田首相のスピーチでさえ、Web3という言葉には触れず、経済成長におけるスタートアップの重要性と、日本をスタートアップにフレンドリーな市場にするという政府の計画について、一般的なフレーズを並べたものに過ぎなかった。

しかし、エバンジェリストたちが語るようなものではないにせよ、何かが確かにある。

田中氏のインタビューが終わりに近づいた頃、田中氏との会議を次に予定していたセガの一団が早めに到着した。

セガは最近、マイクロソフトが買収を計画していたという噂を否定して話題になっている。IVCの広報担当者は会議内容についてコメントを控えた。だがおそらく、クリプトが関係しているだろう。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:First Mover Asia: Bitcoin Maintains $30K as Prospective Issuers Refile ETF Applications