国際決済銀行(BIS)が実施した調査によると、2030年末までに世界中で約15の中央銀行デジタル通貨(CBDC)が流通する可能性があるという。
スイスに本部を置き、世界経済の約95%を占める63の中央銀行が所有する組織であるBISは調査報告書で、9つの中央銀行が今後6年以内に金融市場で利用されるホールセール向けCBDCを発行する「可能性が非常に高い」と述べている。
BISが調査した86の中央銀行のうち、93%が現在CBDC業務に取り組んでおり、インド、イギリス、欧州連合(EU)などの主要な国・地域はすべて、自国の法定通貨のデジタル版の発行を真剣に検討しているという。
「CBDCに関する世界的な取り組みは、昨年からさらに進展している」 と調査報告書は述べており、特に新興国での取り組みが活発で、銀行口座を持たない人々を支援する方法になると見られているという。「リテール向けCBDCが発行されれば、他の国内決済手段を補完し、共存することが期待できるだろう」。
「調査の結果、これまでのところ、ステーブルコインやその他の暗号資産(仮想通貨)が暗号資産エコシステム外での支払いに使用されることはほとんどなく、最も一般的な用途は国境を越えた送金と消費者の購入であることを示している」と報告書は付け加えた。
2022年5月に発表された前回のBISの調査では、民間暗号資産市場の急成長によって、中央銀行が選択肢を検討するきっかけとなったが、2022年の暗号資産の暴落を受けて熱が冷めたケースもあったという。すぐにCBDCを発行する可能性は低いと述べる中央銀行の数は増加しており、現在は判断を保留している中央銀行は少なくなっている。
今年初め、イングランド銀行はデジタルポンドが将来必要になる可能性が高いと述べ、欧州委員会は6月にデジタルユーロを支えるための法案を作成した。アメリカ財務省は、デジタル取引で可能な限りプライバシーを保つ方法を検討していると述べた。
バハマ、東カリブ海諸国、ジャマイカ、ナイジェリアの通貨当局は実際にリテールCBDCを導入しているが、中国ではデジタル人民元の試験運用が行われており、国家による監視の可能性を懸念する声が上がっている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:国際決済銀行(Fred Romero/Flickr)
|原文:15 Retail CBDCs Likely by 2030, BIS Study Says