破綻状態の暗号資産に特化したファンド組成──混乱はチャンスになるか

ニューヨークを拠点とするヘッジファンド、Fir Tree Partnersは、ディストレスト(破綻状態にある)暗号資産に焦点をあてた新しいファンドを立ち上げる。この1年ほど、業界が経験した激しい混乱に賭けようというわけだ。

CoinDeskが確認したメールによると、「Fir Tree Digital Asset Opportunities Fund」は8月1日に販売開始となる。

「Fir Treeが最も得意とするのは、価格設定が誤っていたり、混乱状態にあったり、複雑だったりする機会を見極めること。3つすべてが揃う状況に出会うことは、めったにない。だが今まさに、デジタル資産に揃っている」とFir Treeは書いている。

Fir Treeにコメントを求めているが、まだ返答はない。

昨年、暗号資産および暗号資産業界は大混乱に見舞われた。スリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)、ボイジャー・デジタル(Voyager Digital)、ブロックファイ(BlockFi)、セルシウス(Celsius)、FTX、ジェネシス(Genesis:米CoinDeskと同様にDigital Currency Groupが保有)のレンディング事業などの崩壊や倒産が相次いだ。

Fir Treeは、ステーブルコインのテザー(USDT)の空売りを試みたり、グレイスケール(こちらもDCGが保有)と法廷で争うなど、暗号資産を知らないわけではない。

メールのなかで同社は「暗号資産の方向性や特定の暗号資産の動向について何の見解も持っていない」と指摘し、「暗号資産へのエクスポージャーをヘッジ」するよう努めるとしている。

またFir Treeは、従来の暗号資産投資家は「破産手続きや(効果的な)アクティビストの取り組み」をナビゲートするために必要な経験を持っておらず、同社に有利に働くと述べた。さらに他のディストレスト投資家に対する強みは、ディストレスト投資家は「この非常に複雑な資産クラスの動きに追いつく」ことに苦戦し、「『クリプト』というものには関わりたくない」と考えていることだと述べた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Art Institute of Chicago/Unsplash
|原文:Crypto Distress Prompts Fir Tree, a Hedge Fund, to Seek Profit From Turmoil