暗号資産(仮想通貨)サービス・プロバイダーのマトリックスポート(Matrixport)は、ビットコイン(BTC)のボラティリティが低いため、強気のコールオプションに切り替えることが収益を最適化するための実行可能な戦略であると述べている。ビットコインの主要なボラティリティ指標が数年ぶりの安値に下落しているため、オプションは割安に見えている。
マトリックスポートは7月27日、暗号資産トレーダーは利益を最適化するために、ビットコインからそれに関連付けられた強気のコールオプションに資金をローテーションすることを検討すべきだと述べた。
「予想通り、この夏の数週間、暗号資産市場は非常に静かになった。これにより、取引量とボラティリティが著しく低下した。投資家には、ボラティリティの低下によりオプション価格が安くなっているので、ビットコインスポットをビットコインオプション、特にコールに置き換えることをお勧めできるかもしれない」 とマトリックスポートのリサーチ・戦略責任者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は述べた。
「これにより、ビットコインの年初来の利益を確定させることができる一方、コールオプションのエクスポージャーにより、あらゆる上昇相場に参加することが可能になる」とティーレン氏は付け加えた。
マトリックスポートは2022年後半から一貫してビットコインに強気だった数少ない企業の一つだ。BTCは今年77%近く上昇したが、強気の動きはここ数週間で3万ドルを超えて息切れしている。
コールオプションは、トレーダーに特定の期日までに指定された価格でビットコインを購入する権利を与える(義務ではない)。プット・オプションは売る権利を与える。コールの買い手は市場に強気であり、プットの買い手は弱気ということになる。オプション価格は、オプションの権利行使価格、満期までの期間、金利、インプライド・ボラティリティ(IV:特定の期間における価格の乱高下に対する予想)に影響される。
ボラティリティが低いときには
ボラティリティは平均回帰的であり、資産価格を平均価格に近づけ、オプション価格にプラスの影響を与える。そのため、オプションは割安と言われ、トレーダーはボラティリティが異常に低いときにオプションを好んで買い、ボラティリティが異常に高いときにオプションを好んで売る。
ビットコインの30日実現ボラティリティ(ヒストリカル・ボラティリティ)は年率換算で28%まで低下し、1月以来の低水準となった。T3インデックスのBitVol指数は、4週間にわたるBTCの予想価格乱高下を測定するもので、最近40.47まで低下し、少なくとも2019年初頭以来の最低値を記録した。現在の状況は、ボラティリティが高すぎ、オプションが割高に見えた2022年後半とは対照的だ。
さらに重要なことは、今年に入り、IVとビットコイン価格の間に正の相関関係が生まれていることだ。そのため、ビットコインの上昇が再開すれば、コール・オプションの保有者は少ない初期投資で大きな利益を得られる可能性が高い。
ティーレン氏は顧客向けのレポートで、ビットコインの年初来上昇率77%をポケットに入れ、解放された資金で毎月3%の想定元本を持つアット・ザ・マネー(ATM)コール・オプションを購入することを提案している。こうすれば、たとえ市場が下落しても、投資家は62%の純益で年を終えることができる。
コールを買えば、原資産を買うのと同じ量の株式を、より少ない資金でコントロールできる。コールの買い手は、強気の動きに対するプロテクションを提供するために、売り手にプレミアムを支払う。支払ったプレミアムは、市場が下落した場合にコール買い手が失う可能性のある最大額だ。ATMコールは、権利行使価格が市場相場に近いコールだ。例えば、ビットコインの現在の市場価格2万9180ドル前後の権利行使価格のコールはATMだ。
「この『ビットコイン交換戦略』は、想定エクスポージャー3%(5*3%=15%)で毎月ビットコインコールを購入することで、ビットコインの上昇機会への継続的なエクスポージャーを保証する一方、今年の利益+77%をロックするもので、ビットコイン価格がここから後退し、各コールが損失を出したとしても、62%(コールの15%を差し引いたもの)以上の利得につながる」とティーレン氏は説明した。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/Highcharts.com
|原文:Bitcoin Bulls Should Switch to Call Options, Crypto Services Provider Matrixport Says