トレーダーはイーサリアムの「スリッページ」に注目──トレンドの変化と同調
  • スリッページ(トレーダーが支払うと予想する価格と実際に支払う価格との差)は、市場トレンドの変化を識別するために使用することができる。
  • 暗号資産調査会社Hyblock Capitalが追跡したデータによると、イーサリアム(ETH)市場におけるスリッページの急増は、価格のピークと谷を示す。

トレーダーは、スピーディでリスクの高い暗号資産(仮想通貨)市場のナビゲーターとして、いくつかのテクニカルおよびファンダメンタル指標を使っている。

そのリストに、もう1つ追加するとすれば、イーサリアム(ETH)市場における「スリッページ」だ。この指標は今年、2番目に時価総額が大きい暗号資産の価格のトレンド変化を一貫して識別してきた。

スリッページとは、取引注文が執行された価格と注文が発注された価格との差のこと。動きが速く、ボラティリティの高い場合、あるいは流動性が低い場合に発生する。

どちらの場合も、価格はボラティリティまたは供給不足のために注文が満たされるまでの時間よりも速く動き、トレーダーに有利に働くこともあれば不利に働くこともある。例えば、買い注文が提示価格より高い価格で約定した場合、それはスリッページが高い(または不利な)ケースと言える。

暗号資産調査会社Hyblock Capitalのデータによると、イーサリアム市場におけるスリッページの急増は歴史的にトレンドの変化を予兆してきた。

スリッページは市場の転換点で急増する傾向がある。(Hyblock)

上のチャートは、イーサリアムのUSDT建て価格と集計された最大スリッページ(単一の市場注文における1日の最大スリッページ)を示している。集計された最大スリッページには、暗号資産取引所のバイナンス(Binance)、ビットメックス(BitMEX)、バイビット(Bybit)、ビットフィネックス(Bitfinex)、デリビット(Deribit)、フォビ(Huobi)、OKX、フェメックス(Phemex)、およびHuobiとOKXに上場されている四半期先物のデータが含まれている。

イーサリアムの2021年後半の強気相場のピークと2022年12月の弱気相場の底は、スリッページの突然の顕著な増加と一致していた。同様のスリッページの急増は、今年の中間期のトップとボトムも示している。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Hyblock
|原文:Crypto Traders Might Want to Track Ether ‘Slippage’ Indicator. Here’s Why