連邦準備制度、銀行の暗号資産取引を監視する新たなプログラムを開始へ

アメリカの連邦準備制度は8日、暗号資産(仮想通貨)に関する銀行の活動を監督するための新しいプログラムを開始することを発表し、監督下にある銀行がデジタル資産に関する活動に従事する前に承認を得る必要があるという要件を明確化した。

この「新規活動監視プログラム」は、暗号資産に関する銀行業務のルールを変更するものではなく、連邦準備制度がどのように監督を行う意向なのかを定義するだけのものとなっている。暗号資産セクターとの取引は、連邦準備制度のデジタル資産専門家が規制当局の通常の監督者と協力して活動するこのプログラムの下に置かれることになる。

ステーブルコインについても説明

連邦準備制度はまた、監督下にある銀行がステーブルコインを扱う際にどのように事前承認を得る必要があるかについて、より詳しい説明を発表した。「支払いを容易にするためにドルトークンの発行、保有、取引を行っている」金融機関は、それを「安全かつ健全な方法」で行えることを事前に監督当局に証明する必要があり、さらに連邦準備制度が正式に承認する必要があるという。

各銀行が「自身の活動のリスクを特定、測定、監視、制御」できることを証明する必要があり、連邦準備制度が特にマネーロンダリング、顧客の取り付け、ハッカーに対する脆弱性を探すことになるため、この許可を勝ち取るのは難しい可能性がある。

今回の発表は、1月に発表された暗号資産に関するガイダンスを強化することを目的としており、送金・決済大手のペイパル(PayPal)社が独自のステーブルコインをリリースするというニュースのすぐ後に発表された。

監督下での実験は歓迎

アメリカの銀行関連の規制当局が、現政権の下で銀行システムと暗号資産セクターの間に実質的な障壁を維持する意向を持っていることは明らかだが、同時に、銀行が厳重な監督の下で実験を続けることは歓迎するとも主張している。連邦準備制度は、今回のプログラムにより、デジタル資産のエクスポージャーがいつ調査を受けるかを各銀行に通知することになると述べた。

「監督のレベルと強度は、監督される各銀行組織による新たな活動への関与のレベルに応じて変わる」とされている。連邦準備制度は一方で、新たなプログラムが「金融サービスへのアクセスと提供を改善するイノベーションを規制と監督が確実に許可できるようにするのに役立つ」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk
|原文:Fed Starts New Program to Oversee Crypto Activity in U.S. Banks