東京都「デジタル通貨」発行へ──元ヤフー社長に副知事としてICT政策のリードを期待

東京都は独自のデジタル通貨を発行する。小池百合子都知事が9月3日の所信表明演説で明らかにしたもので、2019年度内に開始するモデル事業の一環で実験的に発行する考えだ。

Society5.0、キャッシュレス化の促進の重要性

都のデジタル通貨構想は、キャッシュレス化の促進の一環とみられる。小池知事は同じ演説で、キャッシュレス化を「都民や外国人旅行者の利便性向上はもとより、決済データを活用した新たなサービスの創出などにつながる重要な成長戦略」と位置づけた。そのうえでSDGsの推進に貢献した人を対象に、民間の決済サービスで利用できる都独自のデジタル通貨を発行し、キャッシュレス決済の拡大につなげると述べている。

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、国連が掲げている持続可能な開発目標のこと。貧困や飢餓の撲滅、気候変動への具体的な対策など17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)から構成される。

小池知事は成長戦略の要として「Society5.0」の実現を掲げており、キャッシュレス化の促進、デジタル通貨構想もその文脈で明らかにした。

Society5.0とは、内閣府によれば、サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会構想という。

東京新聞によると、都はデジタル通貨構想について、都内2ヵ所で実験を行い、数年後には都内全域で発行する方針。通貨の名称は未定で、1億円の費用を見込むという。

宮坂氏にはICT政策の陣頭指揮を執ってもらいたい

また小池知事は9月6日の定例記者会見で、元ヤフー社長の宮坂学氏を副知事にする方針について、「5GやSociety5.0などICT(情報通信技術)の施策を担当していただく。副知事として陣頭指揮を執ってもらいたい」などと述べた。

文・写真:小西雄志
編集:濱田 優