ビットコイン(BTC)のマイニング事業者は、暗号資産(仮想通貨)への依存度を下げるため、急成長している人工知能(AI)市場にハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)サービスを提供するなど、新たな事業分野に進出していると、JPモルガン(JPMorgan)は8月16日の調査報告書で述べた。
新たな投資のコストは、最近の四半期にコインを売却したことによって賄われていると報告書は述べている。
一部のビットコインマイニング企業は、多角化を反映するためにブランド名を変更し、ハイブ・ブロックチェーン・テクノロジーズ(Hive Blockchain Technologies)はハイブ・デジタル・テクノロジーズ(Hive Digital Technologies)に、ライオット・ブロックチェーン(Riot Blockchain)はライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)に社名を変更した。
新たな収益源を探しているのは、世界最大の暗号資産ビットコインのマイナーだけではない。イーサリアムブロックチェーンの「マージ」以降、イーサリアム(ETH)のマイニングに使用されたGPUが実用性を失ったため、流通市場ではグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)が大量に売りに出されているという。
一部のイーサリアムマイナーは投資を回収するためにGPUを売却したが、マシンをゲームや画像および動画レンダリングサービスに転用したり、イーサリアムクラシック(ETC) 、レイブンコイン(RVN) 、エルゴ(ERG)などの他のプルーフ・オブ・ワークの暗号資産をマイニングする業者もあったという。
「しかし、これらの暗号資産のマイニングは、時価総額が低く、長期的な実行可能性に疑問があるため、イーサリアムのマイニングほど収益性が高くなかった」とニコラス・パニギスツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるJPモルガンのアナリストは書いている。
「AIの急速な成長により、高性能コンピューティングへの需要が高まり、以前はイーサリアムの採掘に使われていたGPUを活用するための新たな、そしておそらくより収益性の高い道が開かれつつある」とアナリストは書いている。
また、ビットコインのマイナーは地理的な多様化を図っており、ロシアはビットコインの採掘電力消費量において、アメリカに次ぐ世界的なリーダーの1つに浮上していると報告書は付け加えている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:スウェーデン・ボーデンのハイブ社のイーサリアムマイニング施設。(Sandali Handagama)
|原文:Crypto Miners Are Attempting to Diversify Into Other Business Areas: JPMorgan