ビットコイン(BTC)は17日、大きな下落に見舞われたが、これは少なくとも部分的には、経済が好調なことは金利が上昇し続ける可能性が高いことを意味するという認識によるものだ。
先週、7月の個人消費と新築住宅販売件数はともに予想を上回り、アトランタ連銀のGDPNowは、第3四半期(7-9月)のGDP成長率を非常に高い5.8%と予想した。
こうした数字は通常、不況の後に見られるもので、過去10年間でアメリカがこのような高い成長率を経験したのは、新型コロナウイルスでのロックダウンによる経済崩壊後の数四半期だけだ。
この数週間、ビットコインは2万9000ドル〜3万ドルの狭いレンジにとどまっていたが、17日午後、経済ニュースを受けて、2万8000ドル台前半まで下落した。
さらに、これをきっかけに下落と清算が連鎖し、ビットコインは一気に2万5000ドルを割り込んだ。その後、わずかな回復を見せ、当記事執筆時点では2万6000ドルまで値を戻している。
金利上昇は長期化?
今週はカンザスシティー連銀主催のジャクソンホール会議が開催され、25日午前中にはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が基調講演を行う。
講演に先立ち、WSJのニック・ティミラオス(Nick Timaros)記者(FRBとの親密なコネクションからFRBウォッチャーとして知られている)は21日、いわゆる中立金利(景気を刺激も、抑制もしない金利)はこれまで考えられていたよりもはるかに高くなる可能性があると当局者は考えているようだとコラムに記した。
かなり専門的な内容だが、ここから読み取れることは、FRBが目標とするFF金利(現在5.25%~5.50%)は、市場関係者の予想よりもずっと長い間、かなり高い水準で推移する可能性があるということだ。
インフレ目標の引き上げを検討
また21日のWSJには、オバマ政権で大統領経済諮問委員会委員長を務めたジェイソン・ファーマン(Jason Furman)氏のコラムが掲載され、FRBに対してインフレ目標を2%〜3%に引き上げることを検討するよう促している。
「高いインフレ目標には、深刻な不況に対して経済を緩和する利点もある」とファーマン氏。
「景気が減速したとき、インフレ率の上昇は、コスト削減を目指す企業にとって値上げや賃金凍結が、広範なレイオフのあまり好ましくない代替案ではなくなることを意味する」
I agree with Jason Furman's call for a 3% inflation target — the rationale for 2% has been overtaken by a couple of decades' experience (and many of us have been saying this for a while). But … 1/ https://t.co/qz9tQQotqS
— Paul Krugman (@paulkrugman) August 21, 2023
ビットコインにとっての意味
中立金利の上昇や目標とするインフレ率の上昇については意見が分かれるが、債券市場がこの2つのニュースに反応するのに時間はかからなかった。21日午前中、米国債10年物の利回りは9ベーシスポイント上昇し、16年ぶりの高水準となる4.34%を記録した。
金利に連動する金融商品は、ビットコインのようなリスク資産と投資家の資金を奪い合うが、金利の上昇はビットコインへの関心が低下することを意味する。つまり、6カ月CD(譲渡性預金)で5%のリスクフリーの利回りを得られるのに、なぜビットコインを購入するのかということだ。
一方、FRBが現在の目標インフレ率2%よりも高いインフレ率を容認する姿勢を示したとすれば、それはビットコイン支持者がずっと警告し続けてきた通貨価値の低下を公式に認めることになる。
|翻訳:清水マキ
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Bulls Mull the Meaning of New Fed Messaging on Inflation and Interest Rates