シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン(BTC)先物の建玉を分析したところ、ロングポジションの巻き戻しは始まりではなく、終わりの段階にあるようだとJPモルガン(JPMorgan)が8月24日の調査報告書で述べた。
建玉とは、未決済のオプションや先物などのデリバティブ契約の総数をいう。
ニコラス・パニギスツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるJPモルガンのアナリストは「その結果、暗号資産(仮想通貨)市場の下振れは短期的には限られたものだと思われる」と述べた。
8月の暗号資産市場の調整は「アメリカ証券取引委員会(SEC)対リップルの裁判の判決後の上昇を反転させた」ものであり、「株式、特にハイテクなどのリスク資産におけるより広範な調整で、ハイテクにおけるバブルのようなポジショニング、アメリカの実質利回りの上昇、中国に対する成長懸念によって誘発されたと思われる」とレポートでは述べている。
JPモルガンはさらに、イーロン・マスク(Elon Musk)氏のスペースX(SpaceX)が前四半期に保有していたビットコインを償却したというニュースが、「暗号資産市場の調整の追加的な触媒」として作用したと述べた。
「これらのニュースは、ロングポジションを持ちすぎている投資家を追いつめた」と報告書は述べている。
SECはリップル社の訴訟で連邦地裁の判決を不服として控訴しており、控訴の結果が出るのは来年になる見込みであることから、「暗号資産市場にとって新たな法的不確実性」を誘発する可能性があると報告書は付け加えている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:JPMorgan Sees Limited Downside for Crypto Markets in the Near Term