- 暗号資産市場規制法(MiCA)の成立を主導したステファン・ベルガー議員が、今後デジタルユーロ計画を主導することになる。
- EUの中央銀行デジタル通貨(CBDC)は物議を醸しており、法案にはプライバシー管理が含まれている。
ドイツ選出の欧州議会議員であるステファン・ベルガー(Stefan Berger)氏は30日、デジタルユーロを支える新たな法案の策定を主導すると発表した。
中道右派のベルガー議員はEUの画期的な暗号資産市場規制法(MiCA)の策定を主導した経験があり、欧州議会議員の多くが懐疑的な立場を取っている中央銀行デジタル通貨(CBDC)でも同様の役割を担うことになる。
ベルガー氏はX(旧Twitter)で、「独自のデジタル通貨を持つことで、EUは非EU諸国からより独立し、デジタル時代の一部となる」と表明。「しかしこのプロジェクトは、現金を信頼するのと同じくらいデジタルユーロが信頼を得られる場合にのみ成功する」と述べた。
CBDCの発行は未定
欧州中央銀行(ECB)はCBDCを発行するかどうかをまだ正式に決定していないが、CBDCの技術的計画に多大なリソースを投じている。
欧州議会は、EU加盟国政府のトップで構成される欧州理事会と同じく、データ保護などの分野でデジタル通貨を支える法律について合意する必要がある。ECB当局者らも、決定は欧州議会における政治的ムードに左右されるだろうと示唆している。
ベルガー議員は日頃から暗号資産支持者とみなされており、ビットコインの禁止とみなされることもあるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)によるエネルギー使用を制限する計画にも反対している。ベルガー議員はラポルタール(報告者)として法案の修正案を提案する予定。後の段階では、テキストの統一版をまとめるための欧州評議会との交渉を主導することになる。
欧州議会議員の多くが懐疑的
ベルガー議員の口調は比較的強気だが、同氏自身の政治グループの経済分野の広報担当を務めるマルクス・ファーバー(Markus Ferber)議員を含め、欧州議会の多くの議員はデジタルユーロのメリットに懐疑的な姿勢を示している。
欧州保守改革グループのための交渉を主導するオランダ選出のミヒール・ホーグヴィーン(Michiel Hoogeveen)議員は、7月にCoinDeskに宛てたコメントの中で、この計画には反対だと述べた。
ホーグヴィーン議員は、デジタルユーロは「問題を探すソリューションであり、問題を引き起こすだけの可能性がある。消費者に混乱を引き起こすだけであり、金融システムへの信頼を損なう可能性がある」と述べたが、自身の党が計画を完全に否決するのに十分な票を獲得できない可能性があることは認めた。一方で、「少なくとも調整に努めるし、市民の懸念に対応するために全力を尽くすつもりだ」と表明した。
欧州委員会の当局者らは、CBDCは地政学的な緊張の中でイノベーションを促進するために必要だとし、現金と同様の方法でオフラインで利用できるようにすべきだと提案している。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Pixabay
|原文:Controversial Digital Euro Plan to Be Led by Architect of Landmark MiCA Crypto Law