- ニューヨークの裁判所は、分散型取引所のユニスワップにはプロトコル上で詐欺トークンの発行と取引を許可することで投資家に損害を与えた責任があると主張する集団訴訟の提案を却下した。
- コインベースに対するSECの提訴も監督する判事は判決に対する意見の中で、イーサリアム(ETH)を商品として分類した。SECはイーサリアムをそう分類することを避けてきた。
ニューヨークの裁判所は30日の提出文書で、イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)を「商品」に分類した。一方で、分散型取引所(DEX)のユニスワップ(Uniswap)に対する集団訴訟の提案を却下した。
詐欺トークンによる損失の責任を追及
この訴訟は、2022年4月に投資家グループがユニスワップとその創設者であるヘイデン・アダムス(Hayden Adams)氏に対して提起したもの。ユニスワップが取引所またはブローカーディーラーとしての登録をせずに、未登録の取引所で証券の募集や勧誘を行っていたことが米国証券法に違反しているとの主張が行われ、プロトコル上で発行・取引された「詐欺トークン」によって投資家が損失を被ったことに対するユニスワップの責任を追及した。訴訟で言及されたトークンには、ERC-20トークンであるイーサリアムマックス(EMAX)、ベゾゲ(BEZOGE)、アルファウルフ・ファイナンス(AWF)が含まれる。
連邦証券法の拡張を拒否
しかし30日の判決では、訴訟の真の被告は問題の「詐欺トークン」の発行者であり、ユニスワップではないとして却下された。米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長はこれまでのところ、イーサリアムを証券と呼ぶことを避けているが、ニューヨーク州南部地区のキャサリン・ポーク・フェイラ(Katherine Polk Failla)判事はイーサリアムを商品と呼び、ユニスワップに対する訴訟において「申し立てられた行為を対象とするよう連邦証券法を拡張する」ことを拒否した。
集団訴訟の却下に関する裁判所の意見は、分散型プロトコルに対する今後の訴訟、さらには米国証券法違反を主張する訴訟に影響を与える可能性がある。
ポーク・フェイラ判事は大手暗号資産取引所コインベース(Coinbase)に対するSECの提訴も監督している。
特定可能な被告がいないことで却下
ポーク・フェイラ判事は意見の中で、ユニスワップのプロトコルが分散型の性質を持つことにより、詐欺トークン発行者の特定が不可能となり、この訴訟では「特定可能な被告」はいないと指摘した。
「詐欺トークン」の「実際の発行者」が存在しない中、原告らは、ユニスワップが取引手数料のために「証券の売り手と買い手を結び付ける市場と施設を提供」することで問題の取引を促進したと主張し、「少なくともこの訴訟で申し立てられた特定の請求に関しては、暗号資産規制の現状では彼らに求償権がないという事実を裁判所が見落とすことを望んでいる」とされた。
裁判所はまた、ユニスワップは自動運転車のメーカーのようなものであり、プロトコルとその開発者は詐欺トークンを許可するシステムを開発することで損害を与えたという原告の主張を却下した。
意見には、「実際、これは製造上の欠陥というよりも、資金移動を促進するためにプラットフォームを利用した麻薬取引についてVenmoやZelleのようなアプリケーションの責任を問おうとする訴訟に近い」と書かれている。
関連する規制が存在しないことを理由に、裁判所は投資家の懸念は「この裁判所よりも議会に訴えたほうがよい」と結論づけた。
|翻訳・編集:林理南
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|原文:U.S. Court Calls ETH a Commodity While Tossing Investor Suit Against Uniswap