スペイン北東部カタルーニャ自治州の政府は、分散型IDプラットフォームを開発すると発表した。市民がオンラインサービスを利用する際に、自身のデータを自分で管理できるようにすることが目的だ。
Jordi Puigneróデジタル政策行政相は、2019年9月9日(現地時間)のプレスリリースの中で「IdentiCATプロジェクト」を発表した。同プロジェクトは、「21世紀のデジタル社会において、十分な保証と安全を確保した活動を行うことができるよう、カタルーニャ市民に資格、およびデジタル的に力を付与する」という、同省が掲げる主目標や「公的機関及び社会」内でのブロックチェーン技術の利用を促進するという、今年6月に発表されたカタルーニャのブロックチェーン政策の一部。
IdentiCATと名付けられたこのプラットフォームは、分散型台帳技術(DLT)をベースとし、カタルーニャ州政府がネットワークのバリデーターとなる。この計画の一環として、政府がユーザーの個人情報を収集することはない。
カタルーニャ州政府は以下のように述べた。
「『IdentiCAT』は、ヨーロッパ基準で最初のデジタルIDとなる。また、公共圏によって動かされ、市民自身によって管理されようになり、カタルーニャ州で標準的に使用されることを目指す」
「自己主権型」システムを採用
同政府によると、「自己主権型(self-sovereign)」システムは、携帯端末やコンピューター上のアプリを使って、市民が「法的な有効性とプライバシーを十分に確保したうえで、独自のIDを作成・管理する」ことを可能にするという。
例えば、ユーザーは、IDシステムを使用することで、生年月日や出生地を提供せずに、法的年齢に達していることを証明できる。
IdentiCATは、2014年にEUで成立した、電子取引のための電子認証やトラストサービスに関する規則「elDAS規則」に準拠するように開発される。そのため、IdentiCAT利用者は、EU加盟国のどこからでもオンラインサービスにアクセスし、電子トランザクションを実行できるようになると、プレスリリースには記されている。
システムを稼働させる前に、まず基盤となる技術の開発に関する入札が行われる予定。自己主権型アイデンティティーを生成するツール、IDの検証・認証を行うソフトウエア、そしてカタルーニャ・オープン・ガバメント・コンソーシアム内で現在当局が使用している認証システムとIdentiCATを技術的に統合する方法などの開発が必要となる。
開発完了後、IdentiCATはカタルーニャの市民、公的機関、企業に展開され、利用可能となる。
翻訳:新井朝子
編集:町田優太
写真:Barcelona image via Shutterstock
原文:Catalonia to Build DLT-Based Identity Platform for Citizens