- SECのゲンスラー委員長は、SECが暗号資産企業との法廷闘争に巻き込まれているにもかかわらず、業界の慣行に対して再び公の場で批判した。
- ゲンスラー委員長は、最近の法廷での敗訴を受けてSECがビットコインETFをどうするかについて明らかにしなかった。
暗号資産企業の顧客資産管理を批判
米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は27日に開かれた下院金融サービス委員会の公聴会で、暗号資産(仮想通貨)の「詐欺師」と闘う姿勢を継続。デジタル資産企業が顧客資産に対して危険なほど不注意であると主張する一方で、業界の最も急を要する質問であるビットコイン(BTC)ETF(上場投資信託)については回答を拒否した。
同委員長は、暗号資産企業が顧客の資金を管理する方法に対する批判をこれまで通り維持し、資産のコミングリング(混合)は「良い結果につながらないレシピ」であるとの見方を示した。
ビットコインETFの方針示さず
ゲンスラー委員長はまた、ビットコインETFをめぐる立場に関してSECを振り出しに戻した判事の判決について、SECがどのような行動を取るかまだ決めていないと表明。「まだ活発に検討中だ」とし、「我々は法廷を大いに尊重している」と述べた。
米連邦控訴裁判所の判事は8月にSECに対し、ビットコインETF申請に関する見解を再考するよう指示した。ネオミ・ラオ(Neomi Rao)判事は、グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)の事案におけるSECの却下は「恣意的かつ気まぐれ」だったと指摘した。今回の証言では、SECが次に何をするのか、いつ行動するのかは明らかにされていない。
公聴会では主に、差し迫った連邦政府機関の閉鎖や、SECが気候などの問題を重視しすぎているかどうかなど、暗号資産以外の問題に焦点が当てられた。これまでの公聴会と同様に今回も党派間の亀裂は深刻で、有力な民主党議員はゲンスラー委員長を称賛する一方、共和党議員は消費者や中小企業に損害を与えていると主張した。
共和党に所属する金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)委員長は、SECの「法廷での連敗」を指摘し、SECの「デジタル資産エコシステムに対する反対運動」が業界に混乱と「永続的な損害」を引き起こしていると批判した。
マクヘンリー議員は質問の際、ビットコインが「有価証券ではない」というゲンスラー委員長からの確認を改めて引き出した。
政府機関の閉鎖が影響する可能性
一方、SECとの関連で暗号資産業界のビジネがすぐに減速する可能性がある。ゲンスラー委員長は、SECが来週政府機関が閉鎖される可能性に備えていることを示唆し、そうなった場合には政府機関の人員が90%以上削減されるだろうと述べた。
ゲンスラー委員長は、「上級指導者はいるだろうが、我々は基幹人員だけになるだろう」とし、SECへの提出書類の日々の審査と承認が大幅に遅れることを示唆した。SECの職員5000人のうち、閉鎖期間中に勤務する数百人には給料が支払われないという。
リップル社の案件には回答を拒否
ゲンスラー委員長は、民主党のスティーブン・リンチ(Stephen Lynch)議員から出された、リップル(Ripple)社との訴訟におけるSECのもう一つの注目を集めた法的論争についての質問に答えることを拒否し、それは法廷で進行中の案件だと指摘した。この訴訟では、リップル社は個人投資家へのエックス・アール・ピー(XRP)販売において連邦証券法に違反していないとの判決が下されている。
リンチ議員は、大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)に対するSECの提訴をFTXの破綻前の行動と同一視し、業界に規制の場を与えることは、再び内部崩壊が起きた際に逆に企業が法的に無罪になる可能性があると主張した。
ゲンスラー委員長は、議会の行動は暗号資産における資産のコミングリングの問題を解決するものである必要があると回答した。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Courtesy of the House Financial Services Committee
|原文:SEC’s Gensler Throws More Crypto Punches in Congressional Hearing