- SECは8月、グレイスケール・ビットコイン・トラストのETFへの転換を求めるグレイスケールの申請を却下したやり方について、裁判所から非難されていた。
- この件に詳しい関係者は13日、SECはこの敗訴について控訴しない方針だと明らかにし、GBTCがより魅力的な金融商品であるETFに転換される可能性が高まった。
- このニュースを受けてビットコインの価格が急騰した。
事情に詳しい関係者によると、米証券取引委員会(SEC)は、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)をより投資家に優しいETF(上場投資信託)に転換することを認めないというSECの判断を覆した裁判所の判決に対して控訴しない方針だという。これにより、アメリカ初のビットコイン(BTC)ETFへの道が開かれることになる。
関係者は、SECは13日深夜までに裁判所の決定に異議を申し立てるかどうかを決定する必要があったが、控訴せずに期限を迎える予定だと述べた。ロイター通信が先にこのニュースを報じた。
このニュースが出た後、ビットコインは2万7000ドル(約405万円、1ドル150円換算)を超えた。
SECには申請を拒否する権限が残る
米連邦控訴裁判所は8月、GBTCをETFに転換することを求めるグレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)の申請をSECが却下したのは無効であり、再検討する必要があるとの判決を下し、これは「恣意的かつ気まぐれな」な却下だと表明した。裁判所は、連邦機関は「似たような事例は似たように扱う」必要があると述べた。
控訴裁判所のネオミ・ラオ(Neomi Rao)判事は8月、SECは最近2つのビットコイン先物ファンドの国内取引所での取引を承認したが、GBTCの承認は拒否したと指摘した。
SECの広報担当者にこの決定を確認するよう求めたが、記事執筆時点で返答はなかった。グレイスケールの広報担当者は決定が確定するまでコメントを控えた。
SECが次のラウンドでグレイスケールの申請についてどのような行動をとるかは不明だ。SECには裁判所が棄却した理由以外の理由で申請を却下する権限がまだ残っているが、グレイスケールが裁判でそれらの理由に再び異議を申し立てる可能性はある。
ディスカウント率は減少
グレイスケールは2021年10月にクローズドエンド型ファンドのETFへの転換を初めて申請した。GBTCは世界最大の暗号資産ファンドで、2021年2月以降は保有するビットコインに対してディスカウントされた価格で取引されている。このディスカウント率は一時50%近くに達したが、その後は17%程度の水準に減少した。
グレイスケールは長らく、GBTCをETFに転換すれば、その価格と保有するビットコインの差が縮まるためディスカウントがなくなると主張してきた。ETFの仕組みでは、発行と償還のモデルが可能になる。つまり、需要を満たすために新しいETFが発行されたり、供給を減らすために償還したりすることができる。
グレイスケールは、ビットコイン現物ETFを申請した多くの企業の1つ。世界最大の資産運用会社であるブラックロック(BlackRock)やフィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)も申請を行い、SECの承認を待っている。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Nikhilesh De/CoinDesk
|原文:SEC Won’t Appeal Loss in Grayscale Case, Boosting the Odds GBTC Can Become a Bitcoin ETF