ビットコイン、今年2倍でも過熱の兆候なし:分析

ビットコイン(BTC)は今年に入ってから倍増し、3万4000ドル(約510万円、1ドル150円換算)を超えるまで上昇した。分析会社IntoTheBlockは、それでも市場には過熱の兆候は見られず、継続した上昇を期待するトレーダーにとっては明るい兆しだと指摘した。

MVRVの水準が根拠

IntoTheBlockの見方は、オンチェーン指標であるビットコインのMVRV(実現価値に対する市場価値)に基づいている。MVRVは、時価総額と実現価値の差を測定するもの。

ビットコインのMVRVは現在170%で、過去の主要市場のトップの水準である300%を大幅に下回っている。

IntoTheBlockは週刊ニュースレターで、「ビットコインのMVRVは、ビットコインが年初来高値に達しているにもかかわらず、まだ過去の強気市場ほど過熱していないことを示している」と指摘。「歴史的に、ビットコインの強気市場はMVRVが300%以上でピークに達しており、現在の150%と比較すると、強気市場にはさらに上昇する余地があることが示唆されている」と述べた。

時価総額とは、主要取引所の日次平均価格によって計算された、流通供給量の合計ドル価値を指す。一方、公正価値の比較的優れた尺度であると考えられる実現価値は、オンチェーンのトランザクション(取引)を通じてコインが取引された際の市場価値を計算することで、既存のすべてのコインに対して支払われた価値を概算するものだ。

MVRVが非常に高ければ、ビットコインの市場価格が実現価値(公正価値)に比べて過大評価されていることを示し、非常に低いければその逆を示す。

柴犬コインへの関心の低さも根拠

ビットコインのピークが直近の最高値である3万5000ドルよりも高い可能性を示唆するもう1つの要素は、柴犬コイン(SHIB)のようなミームコインの取引に対する投資家の関心が低いことだ。

ビットコインは今月27%急騰したが、データ分析会社コイングラス(CoinGlass)のデータによると、大手暗号資産取引所のバイナンス(Binance)の有効な柴犬コインの無期限契約の数から計算される想定建玉は約3500万ドル(約52億5000万円)で横ばいのままだ。過去のデータによると、ミームコインの熱狂が市場を席巻し、柴犬コインの建玉が1億ドル(約150億円)を超えたときにビットコインがピークに達する。

とはいえ、投資家は、地政学的な緊張が激化する可能性や原油価格が1バレル当たり100ドルを超える原油価格上昇の継続に警戒する必要がある。こうした展開は広範なリスク回避につながり、ビットコインに下落圧力をかける可能性がある。

IntoTheBlockは、「最近の株価上昇を受けて、マクロの力と潜在的なブラックスワン(予想されておらず、影響の大きいイベント)が調整をもたらす可能性がある」と指摘した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Shows No Signs of Overheating, Despite Doubling This Year: Analysis