シンガポールに拠点を置くブロックチェーンデバイス製造スタートアップのプンディX(PundiX)が1年かけて開発を進めているブロックチェーンスマートフォン「ブロック・オン・ブロック(Blok on Blok=BOB)」は、ローンチの準備がほぼ整った。
同社は今週ドイツ・ベルリンで開催された欧州最大の家電見本市「IFA2019」でBOBの最新版を披露した。同社がCoinDeskに明かしたところによると、同デバイスは2019年第4四半期にキックスターター(Kickstarter)とプンディXのXウォレット(XWallet)を通して、599ドルで先行予約を受け付ける計画だという。
同社の発表によると、BOBは、ユーザーの個人情報を保管する中央集権的なサービスプロバイダーを必要とせず、全てのデータはブロックチェーンシステム「ファンクションX(Function X)」上で実行されるという。
BOBのユーザーは、分散型サービスの利用を可能とするブロックチェーンOSとアンドロイドOSを切り替えて使用することができる。
BOBはカスタマイズも可能。プンディXによると、同端末には「MODアセンブリ・キット(MOD Assembly Kit)」が付属しており、購入者は取り外し可能なパーツによって、端末の外観を変更できるようになるという。
プンディXの共同設立者兼CEOのザック・チーア(Zac Cheah)氏は次のように述べている。
「共有される全てのデータが所有者の管理下にある、完全に分散化されたネットワーク、『ブロックチェーン・インターネット』を構築するという我々のミッションにおいて、BOBは大きな前進となる。さらに重要なのは、BOBがブロックチェーン技術のみで動く世界を垣間見せてくれることだ。そこでは誰もが自分自身のデータを管理でき、全てが不変性と透明性の前提の下で実行される」
BOBは、分散型アプリケーション(dapps)やブロックチェーンサービスにアクセスできるだけでなく、ファンクションXにノードとして参加することも可能。
プンディXによると、第1弾としては5000台の生産を計画しており、これは本格的な小売販売開始前のプロトタイプとして考えているという。
プンディX以外にも複数の企業が独自のブロックチェーンスマートフォンを発売すると発表している。
2019年9月10日に報じられたように、LGはデバイスのローンチを間近に控えていると言われており、HTCも準備を進めているようだ。サムスン(Samsung)と仮想通貨取引所フォビ(Huobi)は、どちらもすでに仮想通貨・ブロックチェーン向けのスマートフォンをローンチしている。
翻訳:新井朝子
編集:町田優太
写真:BOB phone images courtesy of PundiX
原文:PundiX’s Blockchain Phone Is Now Called BOB and Its Coming Soon