- 11月22日、バイナンス創業者のチャンポン・ザオCEOはアメリカ政府との和解の一環として同社が43億ドルを支払い、自らは退任することに同意した。
- 同取引所はその後の24時間に10億ドル近くの引き出し処理に成功し、FTXのような取り付け騒ぎの恐れを鎮めた。
暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)は、アメリカで刑事告発を受け、創業者の「CZ」ことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏は、和解の一環として最高経営責任者を退任することに同意した。そして同取引所はその後の24時間に9億5000万ドル(約1425億円、1ドル=150円換算)以上の資金流出を記録した。
「ジャオCEOの辞任発表後、ビットコイン(BTC)とステーブルコインの流出が絶えない」とオンチェーンデータ分析企業CryptoQuantのマーケティング責任者ホチャン・チュン(Hochan Chung)氏は米CoinDeskに語った。「しかし、バイナンスの総準備金と比較すると、現在の流出量はまったく問題ではない」。
バイナンスは通常通り営業を続けており、アメリカ市場から「完全撤退」するとしている。
CryptoQuantによる1時間ごとの純流出量の分析によると、引き出しは平均をかなり上回っているが、週単位では異常なほど大きくはない。
デューン・アナリティクス(Dune Analytics)のダッシュボードのデータによると、23億7000万ドル(約3555億円)以上のさまざまなトークンが取引所から退出したが、17億8000万ドル(約2670億円)のトークンが預け入れられた。
「0x43feD72B921aF413Aad831CEbd221697B18DA54F」のアドレスは、明らかに機関投資家向け暗号資産取引所ファルコンX(FalconX)に関連しており、8300万ドル(約124億5000万円)分を引き出した。また、マーケットメーカーWintermute Tradingとの関連が明らかなアドレス「0xeae7380dd4cef6fbd1144f49e4d1e6964258a4f4」が1億9000万ドル(約285億円)分で預け入れをリードした。
バイナンスコイン(BNB)が最も多く引き出しと預け入れがあったトークンであることがデータで示されている。
このような処理は、取引所の支払能力に関するあらゆる懸念を払拭するのに役立っている。これは、サム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏の取引所FTXが顧客資産を取引部門であるアラメダ・リサーチ(Alameda Research)の資産と混同していることを明らかにした米CoinDeskの記事を受けて、顧客からの引き出しを停止したFTXの当時の経営状況とは大きく異なっている。
DefiLlamaのデータによると、バイナンスは670億ドル(約10兆円)相当のトークンとステーブルコインを保有している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CryptoQuant
|原文:Binance Processes Nearly $1B in Net Outflows as Changpeng ‘CZ’ Zhao Resigns