バイナンスとジャオ氏に対するアメリカの扱いは「不条理」:BitMEX元CEOが主張

バイナンス(Binance)とその創設者である「CZ」ことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏がアメリカでこのような扱いを受けているのは、この暗号資産(仮想通貨)取引所、そして他の中央集権的な取引所が、伝統的なアメリカ主導の世界金融システムに対する脅威となっているからだと、取引所BitMEXの元CEOであるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏は自身のSubstackアカウントに投稿した新しいエッセイの中で主張している

先週、バイナンスとその創設者は制裁と送金に関する法律違反で刑事告発され、43億ドル(約6450億円、1ドル=150円換算)の罰金を支払うことに合意し、ジャオ氏はCEOを辞任することになった。ジャオ氏は裁判所により逃亡の危険性があると判断され、来年初めの判決までアメリカに留まらなければならない。

伝統的な大手金融機関に科された罰則と比べると、バイナンスとジャオ氏に科された罰則は「不条理」であり、「国家の手による刑罰の恣意的な性質」を浮き彫りにしている、とヘイズ氏は書いている。

「ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)前CEOのロイド・ブランクファイン(Lloyd Blankfein)氏は、彼の統治下にあったゴールドマンがマレーシアのナジブ・ラザク(Najib Razak)前首相と金融業者のジョー・ロー(Jho Loh)氏に100億ドル以上を盗ませたときに同じ扱いを受けたのだろうか」とヘイズは書き、2015年に発覚した1マレーシア開発銀行(1MDB)のスキャンダルに言及した。ゴールドマン・サックスは結局、2020年に29億ドル(約4350億円)の罰金を科せられた

「いや、ロイド氏はストックオプションを残したまま引退できたし、ゴールドマンは刑事責任を問われなかった」と続け、2008年の金融危機で大手銀行のCEOが起訴されなかったことも指摘した。

ヘイズ氏は、ジャオ氏とバイナンスの扱いは、分散化とブロックチェーン革命に対する抵抗を示していると主張している。

「国家は中央集権の権力を持ち、協力は暴力的な脅しによって達成される」と彼は書いている。「金融と政治のエスタブリッシュメントにとっての問題は、ブロックチェーンという産業革命への流入と流出を促進する仲介業者が、彼らの階級のメンバーによって運営されていないことだったのだ」。

ヘイズ氏自身も国家による訴追を受けている。2022年2月、彼は取引所におけるマネーロンダリング防止(AML)プログラムの実施を故意に怠ったとして、銀行秘密法違反に問われて罪を認め、2年間の執行猶予が言い渡された。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:アーサー・ヘイズ氏(CoinDesk)
|原文:U.S. Treatment of CZ, Binance Is ‘Absurd:’ Arthur Hayes