金融安定理事会(FSB)が11月28日に発表した報告書によると、複数の活動を行っている暗号資産企業の倒産は「実体経済」 に対する大きな脅威ではないという。
FSBの報告書はまた、 「重大な情報格差が残っている」 ため、さらなる評価が必要であると述べている。
金融システムを監視し、金融危機の防止に役立つ規則を提案するFSBは7月、多機能暗号資産仲介業者 (MCI)の金融安定への影響を評価すると発表した。FSBによると、MCIは、取引プラットフォームの運営を中心とした幅広いサービス、製品、機能を組み合わせた個別企業または関連企業のグループを指す。これはコインベース(Coinbase)やバイナンス(Binance)のような多くの暗号資産関連企業が含まれる可能性がある。
FSBは、さまざまな活動を組み合わせている暗号資産企業は、破綻に対してより脆弱であり、そのような破綻の影響を軽減するには、グローバルな暗号資産規制がいかに適切に実施されるかにかかっていると警告した。報告書はまた、国境を越えた協力と情報共有の強化が必要な「情報格差」を特定したとしている。
報告書は、MCIと伝統的な金融における企業の脆弱性に大きな違いはないと述べている。しかし、MCIが自己勘定取引、独自の取引所におけるマーケットメイキング、貸し借りに関与する場合には、脆弱性が増大するという。
FSBは、MCIの開示・報告要件が十分にカバーされているか、あるいは追加的な措置が必要かを評価する必要があるとしている。
「伝統的な金融では通常制限されるか分離される機能を組み合わせたMCIの活動は、『同じ活動、同じリスク、同じ規制』という原則と一義的に矛盾するように見える」と報告書は述べている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Failure of Multi-Function Crypto Firms a Limited Threat to ‘Real Economy’: FSB