ハッキング被害のHTXとポロニエックスの資産は「100%安全」:ジャスティン・サン氏

暗号資産(仮想通貨)業界の大物、ジャスティン・サン(Justin Sun)氏は、先月、ハッキングによって2億ドル(約290億円、1ドル=145円換算)以上が2つの暗号資産取引所から奪われたにもかかわらず、HTXとポロニエックス(Poloniex)で保有されている資産は「100%安全」だと述べた。

両取引所は、いくつかのアルトコインはロックされたままだが、一部の資産の引き出しを開始した。ビットコイン(BTC)とトロン(TRX)は引き出し可能な2つの暗号資産だ。このため、両トークンは過去数週間にわたりポロニエックスでプレミアム価格で取引され、ユーザーはある資産を引き出し可能な資産に替えるために最大10%の価値の減少を甘受しなければならなかった。

出金凍結は、11月10日にハッカーがポロニエックスのホットウォレットから1億1400万ドル(約165億円)を盗んだ後に行われ、これに続いてHTXとブロックチェーンプロトコルのHECOチェーン(Heco Chain)から9700万ドル(約140億円)が盗まれた。

「現在、ポロニエックスとHTXはハッキングから回復しており、トークン(の引き出し)を1つずつ再開している」とポロニエックスの投資家でHTXのアドバイザーを務めるジャスティン・サン氏は米CoinDeskに語った。「HTXについては、すでに米ドル換算で95%相当の資産が再開したと思う。ポロニエックスでは同じく85%程度が再開している」。

「また、HTXとポロニエックスでは、すでにプラットフォーム内のトークンの損失をすべてカバーしているため、すべての資産は100%安全であることに留意してほしい」と彼は述べた。「取引所自体は将来的に損失を回復する必要がある。しかし、顧客の資産は100%安全だ」。

HTXの広報担当者は米CoinDeskに「最近の流出は当社の総準備金のごく一部であり、HTXは安定した健全な運営を続けている」と語った。

両取引所に資産を保有するユーザーの不安を解消するため、HTXとポロニエックスはテザー(USDT)をエアドロップすると発表した。スナップショットによってユーザーは取引所で保有する1米ドル相当のトークンごとにエアドロップされたトークンを1つ受け取ることになる。

HTXは過去24時間で16億ドル(約2320億円)の取引高があった。一方、CoinMarketCapによると、ポロニエックスは8億4300万ドル(約1220億円)を積み上げている。

ジャスティン・サン氏は、2017年のICOで7000万ドル(約101億円)を調達したトロン・ブロックチェーンを設立し、暗号資産業界で重要なプレーヤーになった。TRXは現在、時価総額91億ドル(約1兆3000億円)で第11位の暗号資産であり、取引量でも第2位のブロックチェーンであり、預かり資産(TVL)は79億ドル(約1兆1400億円)だ。

アメリカ証券取引委員会(SEC)は今年初め、TRXが有価証券であるとしてサン氏を提訴した。米CoinDeskが入手した法廷文書によると、サン氏の弁護団は今週初め、この訴訟への対応の期限延長を認められた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:ジャスティン・サン氏(CoinDesk)
|原文:HTX, Poloniex Assets are ‘100% Safe’ Says Justin Sun After $200M Hack