サークル（Circle）社のドルペッグ型ステーブルコインであるUSDコイン（USDC）が3日、3回にわたって大幅に下落し、一時0.74ドルまで下落した。ビットコイン現物ETF（上場投資信託）が今月承認されるとの見通しに疑問を呈す報道によって暗号資産市場（仮想通貨）全体が急落したことが背景にある。
協定世界時（UTC）12時10分から12時21分の間に、大手暗号資産取引所バイナンス（Binance）では、テザー（USDT）との取引ペアであるUSDC/USDTで急落が3回発生し、それぞれ0.74ドル、0.80ドル、0.79ドルに達した。3回とも価格はすぐに1ドルに戻った。USDC/USDTの急落は、トレーダーがUSDコインを売ってテザーを買う際に1ドルのペッグを維持するのに十分な流動性がないと発生する。
CoinMarketCapのバイナンスのデータでは、USDC/USDTの価格の2%分のマーケットデプスは上方向に偏っており、1.02ドルまでの価格帯で積み上がった注文は2600万ドル（約37億7000万円、1ドル145円換算）で、0.98ドルまででは610万ドル（8億8450万円）。この状況では、トレーダーが610万ドルを超える売り注文を出した場合、価格は0.98ドルを下回る。UTC12時10分には620万ドル相当の取引高があり、続くUTC12時21分には430万ドル相当の取引高が発生していた。
今月米証券取引委員会（SEC）が多数のビットコイン現物ETF申請を却下すると予測した暗号資産サービスプロバイダー、マトリックスポート（Matrixport）のレポートを受けて、5億ドル（約290億円）以上のデリバティブポジションが清算された。
USDC/USDTの取引ペアでは過去数カ月間、わずかなペッグ喪失が数回発生していたが、どちらの方向でも価格の4％を超えていないことは注目に値する。
最後にUSDコインがペッグを喪失したのはシリコンバレー銀行破綻後の3月。サークル社がUSDTの裏付け資金の一部を窮地に陥った銀行で保有していたことが明らかになり、USDコインは0.86ドルに下落した。
｜翻訳・編集：林理南
｜画像：Piret Ilver/Unsplash
｜原文：USDC Stablecoin Momentarily Depegs to $0.74 on Binance
