規制当局が仮想通貨取引所に対して、いわゆるプライバシーコインのユーザーへの提供を止めるように求める圧力が強まっている。
マルタに拠点を置く取引所OKExの韓国部門は2019年9月16日(現地時間)、ユーザーに対して追加のプライバシー機能を提供する5つの仮想通貨について上場廃止を発表した。OKEx韓国は10月10日以降、モネロ(XMR)、ダッシュ(DASH)、ジーキャッシュ(ZEC)、ホライズン(ZEN)、スーパービットコイン(SBTC)の取引に対応しなくなる予定だ。
今回の発表の中でOKEx韓国は、「政府機関や主要組織の法律、規則、方針に反する」仮想通貨の上場を廃止すると述べた。
今回は具体的に、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)による各国規制当局への「トラベル・ルール」勧告が5つのコインの上場廃止の理由として挙げられている。
OKEx韓国は、FATFの規則に基づき、「取引所は暗号資産の送り手と受け手の氏名や住所などの関連情報を収集することが推奨される」と述べた。
そのため、そのようなデータの取得を可能にしていない仮想通貨の上場廃止を決定した。
コインベース(Coinbase)のイギリス部門も8月、当局の求めがあった場合にユーザーを特定する必要があることをおそらく理由として、ジーキャッシュへの対応を停止した。
FATFは今年夏、37の加盟国に対して、「仮想通貨取引所を含む暗号資産サービス提供者(VASP)は、企業間での資金の移動の際にはお互いの顧客の情報を渡すように」という物議を醸す要件を含め、勧告をまとめ上げた。
いわゆるトラベル・ルールはすでに、顧客に代わり資金を送金する国際銀行に対する要件となってしばらく経つが、ブロックチェーン企業にとっては面倒で、ユーザーのプライバシーにとっては有害とされてきた。
FATFはそれらの新しい勧告を実行に移すのに12カ月の猶予を持たせており、実施は義務ではないが、遵守しない国は金融上のブラックリストに載る可能性もある。
仮想通貨業界でコンプライアンス・ソリューションを提供する企業は6月以降、取引所間での必要なデータのやり取りを支援することを目的としたシステムのローンチに向けて動いている。
OKEx韓国は、顧客が同社プラットフォームから5つの上場廃止コインを引き出すことは、12月10日まで可能と述べた。
翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Monero image via Shutterstock
原文:OKEX Korea Drops 5 Privacy Cryptocurrencies Citing FATF Rules