ビットコイン現物ETF(上場投資信託)の申請に関する米証券取引委員会(SEC)の決定を市場が待つ中、アナリストらはビットコインETFへの流入額が今後3カ月で10億ドル(約1450億円、1ドル145円換算)をはるかに超え、年末までに1000億ドルを超える可能性があると予想している。
500~1000億円の流入を予想
ビットコインが年末までに10万ドルに上昇すると予測しているスタンダードチャータード(Standard Chartered)は、SECが現物ETFを承認すれば多額の流入が見込まれると予想している。
スタンダードチャータードはレポートで、ビットコイン現物ETFが承認されれば今年500億ドルから1000億ドルの資金が流入するとの予測を示した。これは、2024年末までに43万7000~132万枚のビットコインがETFによって新たに保有されることを意味する。
流入が予想通りに実現すれば、ビットコインは2025年末までに20万ドル近い水準まで上昇する可能性があるという。
金ETPよりも急速に発展するとの見方
スタンダードチャータードは、ビットコインETFを2004年11月に発売されたアメリカ初の金ETP(上場取引型金融商品)と比較した。その後、金の価格は7年間で4倍以上に上昇した。
Messariのデータによると、ビットコインは昨年約155%上昇し、2024年に入ってからは6%上昇している。スタンダードチャータードは、ビットコインは現物ETFの承認後に金と同様の上昇を達成する可能性があるが、期間はより短い(1~2年)と指摘。「ビットコインETF市場はより急速に発展すると我々は考えている」と述べた。
その他の流入予測
コアストーン・キャピタル(Corestone Capital)の会長兼創設者であるウィル・マクドノー(Will McDonough)氏も、ビットコインETFが承認されれば大きな需要が見込まれると予測している。マクドノー氏は、今年第1四半期末までに約10億ドル相当の資金が流入するとみている。
マクドノー氏は、「セルフカストディという障害により、多くの投資家がこの資産クラスから遠ざけられてきた。投資家に従来の証券口座でのエクスポージャーを与えることができる40年法の構造の承認は、ポートフォリオのわずか1%でもこの成長中のオルタナティブ資産クラスに割り当てることができる投資層の動態が指数関数的に増加することを意味する。(ビットコインの供給量が一定であることを考慮すると)価格動向も同様に大きくなると思う」とコメントした。
暗号資産ファンドのギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)は10月のレポートで、ETFには発行初年度で少なくとも144億ドルの流入が見込まれると予想した。レポートでは「流入額は2年目までに270億ドル、3年目までに390億ドル増加する可能性がある」と指摘されている。
また、多くの資産運用会社がイーサリアム現物ETFの申請を行っており、最終決定期限は5月となっている。スタンダードチャータードはレポートの中で、SECがイーサリアムETFを承認すると予想していると述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Wance Paleri/Unsplash
|原文:Bitcoin ETFs Could See Up to $100B in Inflows If SEC Approves: Standard Chartered