「Running bitcoin(ビットコインを実行中)」。
2009年1月11日、その2日後にビットコイン(BTC)をダウンロードして受け取った最初の人になる、伝説的なサイファーパンクのハル・フィニー(Hal Finney)氏は、そう投稿した。
この投稿によって、当時はニッチなインターネットトークンだったビットコインが世界に紹介され、ピーク時には1兆ドル規模の資産に膨れ上がることになった。
Running bitcoin
— halfin (@halfin) January 11, 2009
フィニー氏の投稿からちょうど15年後、ビットコインはアメリカ証券取引委員会(SEC)によって初のスポット型上場投資信託(ETF)が承認された。
承認されたプロバイダーには金融大手のブラックロック(BlackRock)とフィデリティ(Fidelity)が含まれ、暗号資産(仮想通貨)ネイティブファンドのグレイスケール(Grayscale)のビットコイン・トラスト(GBTC)もETFとして格上げされた。これらの商品の手数料は、アーク(ARK)、ビットワイズ(Bitwise)、インベスコ(Invesco)の「最初の数カ月はゼロ」からグレイスケールの1.5%まで幅広い。
2014年8月に死去したフィニー氏は、ビットコインの仮の生みの親であるサトシ・ナカモト以外に、ビットコインのソフトウェアをダウンロードして実行した最初の人物でもある。
彼はビットコインが急速に成長する可能性があると信じていた。ナカモトに送った電子メールの中で、フィニー氏はトークンにいち早く価格をつけた。世界の家計の富の何分の一かがこのプロジェクトに注ぎ込まれ、2100万枚のコインが1000万ドルの価値を持つ日が来ると見積もっていた。
ビットコインは本来、伝統的な銀行業界から遠く離れた場所で活動する反体制的な遊びであるはずだったが、ウォール街での採用はトークンが代替資産として広く成長することを意味する。
規制された商品であれば、投資家やファンドは暗号資産ウォレットの設定や管理に伴うリスクを負うことなく、トークンへのエクスポージャーを得ることができる。このSECからのグリーンシグナルは、スポット型ビットコインETFを立ち上げようとする数多くの試みに対する長年にわたる遅延や完全な拒否のあとにもたらされたものだ。
暗号資産取引所ジェミナイ(Gemini)の共同創設者であるキャメロンとタイラーのウィンクルボス兄弟(Cameron and Tyler Winklevoss)は、2013年にSECにビットコインのスポットETFの創設を初めて申請したが、その時は即座に却下された。グレイスケールは2017年から信託をETFに転換しようとしてきた。
一方、ビットコイン価格は4万7500ドルの高値をつけた後、承認後に後退したが、2021年の過去最高値である6万9000ドルへと近づいている。
フィニー氏は、魔法のインターネットマネーの成功を見ることはできないが、彼の功績は永遠に生き続けるだろう。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Hal Finney
|原文:Bitcoin ETFs Secure Approval Exactly 15 Years After Hal Finney’s Iconic ‘Running Bitcoin’ Tweet