トークン化されたファンドの採用は進むが、技術的リスクをもたらす: ムーディーズ

トークン化された投資ファンドの採用は増加傾向にあるが、テクノロジー・プロバイダーは「限定的な実績」しかなく、リスク増大の一因になると格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s Investor Services)が1月15日に発表した報告書で警告している。

トークン化されたファンドとは、暗号資産(仮想通貨)のベースとなる分散型台帳技術(DLT)を使って、投資単位をデジタルで表現した投資ファンドのことだ。資産やファンドのトークン化は、世界中の金融機関が市場の流動性、効率性、透明性を向上させようとする中で、大きな注目を集めている。ムーディーズのDeFi・デジタル資産チームの報告書によると、主に国債のような政府発行の債券に投資するファンドのトークン化に後押しされたトークン化ファンドの普及が進むことは、市場が未開拓である可能性を示している。

「トークン化されたファンドの潜在的な用途は、単に資産の流動性を高めるだけではない。 これらのファンドには、担保としての役割など、他にもさまざまな機能が考えられる」と報告書は述べている。

しかし、トークン化には「さらなる」技術的専門知識が必要だと報告書の著者は警告している。そもそも投資ファンドは、原資産やファンドの管理などに起因するリスクを伴う。報告書によれば、トークン化されたファンドはDLTに関連した新たなリスクをもたらす可能性がある。

「技術面で関与する事業体は、実績が限られていることが多く、倒産や技術的な障害が発生した場合、決済が中断されるリスクが高まる」と報告書は述べている。

しかし、ムーディーズのアナリストは、それでも導入は止まらないと見ている。フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)やゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)から香港金融管理局(HKMA)に至るまで、大手企業は最近、トークン化された資産の発行に参加している。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Tokenized Fund Adoption Grows but Brings Technology Risks: Moody’s